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メキシコ経済、20年も回復遅く 政権に試練 - 日本経済新聞

【メキシコシティ=丸山修一】メキシコ経済の回復が遅れそうだ。金融危機以来のマイナス成長となった2019年に続き、20年も1%内外の成長にとどまりそう。民間主導の経済政策に否定的なロペスオブラドール大統領の下、投資環境は改善せず雇用や消費にも悪影響が続く。公約の4%成長には遠く、治安問題への取り組みも含め試練の年になりそうだ。

ロペスオブラドール政権による混乱が続いている=ロイター

ロペスオブラドール政権による混乱が続いている=ロイター

「メキシコへの投資で本社を説得するのは難しい」――。米化学大手デュポンでメキシコ・ラテンアメリカを統括するクラウディア・ハニェス氏は1月15日、地元経済団体のイベントでこう話した。英会計大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が同20日に発表した経営者が選ぶ20年の有望投資先で、メキシコは昨年の9位からトップ10圏外となった。

建設中の首都新空港計画を白紙にし、資金不足の石油産業活性化の切り札だった油田入札の無期延期などによる混乱が続き、19年のメキシコ経済は09年以来のマイナス成長を記録した。20年はプラスに転じる見通しだが国際通貨基金(IMF)が1.0%、世界銀行が1.2%を予想する一方で、英バークレイズが0.6%とするなど民間機関では1%すら達成できないという見方が増えてきている。

2年連続の不振は、19年にマイナス成長に落ち込んだ最大要因である投資不足が今年も払拭できそうもないためだ。

「油田入札は110億ドル(約1兆2千億円)の投資を呼び込み、石油業界に大きく貢献した」。地元経済団体の企業家調整評議会(CCE)は1月、前政権で憲法改正してまでこぎ着けた油田入札の復活を訴えた。しかし異例の声明をロペスオブラドール氏は完全に無視した。「民間投資を敵視している」(デュポンのハニェス氏)。経済界には悲観的な見方が続いている。

北米自由貿易協定(NAFTA)に代わるUSMCA(米・メキシコ・カナダ協定)も発効にメドがつきつつあるが「すぐに投資が期待できるわけではない」(エレラ財務公債相)のに加え、「国内の混乱状態の解消にはつながらず、投資不足は続く」(バンクオブアメリカ・メリルリンチでメキシコを担当するカルロス・カピストラン氏)と見られる。政府は民間と5兆円近いインフラ投資を約束したとするが、開始はまだ見えない。

民間の投資が落ち込む中で本来は景気回復の頼みの綱である公共投資もぱっとしない。20年の公共投資は前年比で2.8%増やす計画だが、2%の経済成長を想定した税収が前提だ。政権は財政黒字確保には固執しており、新たに打ち出した若者向けの奨学金増額や医療費の補助拡大などで支出が膨らむ中、公共投資に回る予算の拡大は期待薄だ。

投資が停滞する中で、雇用や消費が改善するのも難しい。国際労働機関(ILO)は経済活動の停滞でメキシコの失業率は19年の3.4%から21年には4.1%まで悪化し、失業者数も18年の180万人から、21年には240万人に悪化すると予想する。

雇用環境の悪化は消費も直撃する。メキシコ全国スーパーマーケット・百貨店協会(ANTAD)は今年の既存店売上高を3%とし、物価上昇を勘案すればマイナスに落ち込むとの予想を出している。自動車販売ディーラー協会(AMDA)のギジェルモ・ロサレス会長代理は「経済環境をみれば今年も新車販売が減少する状況は脱却できない」とあきらめ顔だ。

経済成長が落ち込む中でロペスオブラドール氏は毎朝の会見で「私には別の数字がある。経済はうまくいっている」と自画自賛を続けるが、国民の生活が改善に向かっているデータは示していない。最重要公約だった治安回復も、19年は過去最悪の殺人事件件数を記録した。各地で抗議デモも増え、破壊活動に至るケースも少なくない。このまま国民の不満が高まれば、政権のかじ取りもにも影響が出る可能性もある。

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January 31, 2020 at 02:34AM
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