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大リーガー前田選手、サイバーダインのロボに興味津々 - 日経ビジネス電子版

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 筑波大学発ベンチャーで、装着型ロボットを事業化するサイバーダインがスポーツトレーニングの分野に進出する。アスリート向けにスポーツ指導などを行う一般社団法人IWA JAPAN(東京・千代田)とアスリートのパフォーマンス向上に向けた新たなプログラム「IWA式 Neuro HALプラス」を共同開発したと発表。このほど、IWAが東京都千代田区で運営するスポーツ施設で、米大リーグ、ドジャーズの前田健太選手が同プログラムによるトレーニングを行う様子を披露した。

前田健太選手が新たなプログラムを体験

 

 サイバーダインの装着型ロボット「HAL」は、利用者が体を動かそうと考えたときに、脳から神経系を介して筋肉に伝わる信号を、皮膚表面で微弱な電気信号として検出し、考えた通りに手足が動くのを補助するロボットだ。装置には角度センサーなども内蔵されていて、それらのセンサーから得た情報と、皮膚に貼り付けた電極から得た情報を基に支援する動作を決め、パワーユニットを駆動させて運動をサポートする。

 2015年には神経・筋疾患の歩行機能を改善する用途で医療機器の承認を取得し、医療現場への導入を進めているところ。脳卒中や脊髄損傷などにも適応症を広げるべく、治験なども行っている。さらに、米国でも2017年に食品医薬品局(FDA)の承認を取得し、流通を開始している。

 ただし、医療分野への普及のスピードはゆっくりしたものだ。臨床試験などで稼働しているものを除くと、国内で医療機関向けにレンタルしている台数は、2018年3月期末68台だったのに対して、2019年3月末77台、2019年9月末に81台という状況だ。

 そこで昨今力を入れているのが、障害者や高齢者の自立度や生活の質向上にHALを用いる福祉分野の事業。医療機器向けのものとは別に、下肢タイプや単関節タイプ、腰タイプなどの装着型ロボットを開発し、福祉施設や病院などでのトレーニングや運動機能の改善のために提供している。

 こうした福祉分野での普及に向けて、サイバーダインでは「Neuro HAL Fit」という運動機能改善プログラムを開発。自社独自もしくは各地域の医療法人や福祉関連の事業パートナーと連携して各地に「ロボケアセンター」を開設して、運動機能改善プログラムの提供を進めている。

 「ロボケアセンターを運営する子会社を初めて作ったのは7年前だが、現在14カ所あるロボケアセンターのうち10カ所は昨年開設したもの。それだけ需要が高まっていることを感じている」と、サイバーダインの安永好宏取締役は話す。

 今回、IWAと業務提携して開発したスポーツトレーニング用のプログラムは、運動機能改善向けのプログラムを基に、IWAのトレーナーのノウハウを加えて開発した。利用する装着型ロボットのHALは福祉用のものと同じで、体に幾つかの電極を貼り付けて運動を行うという利用方法も変わらない。ただし、皮膚表面の電気信号の状態を観察しながらトレーニングが行えるよう、モニターが付随する点が異なる。

 医療や福祉の場面では、考えた通りに体を動かしてみて、筋肉の動きを脳にフィードバックする形で動かし方を覚えさせて機能改善につなげることを狙っている。スポーツトレーニングの場合は逆に無駄な動きをコントロールするのに有用なのだという。

 「例えば、『力むな』といわれてもどうすればいいか分からないことがあると思う。この装置を装着すれば、無駄な力を入れていると電気信号としてとらえられてモニターに波形が表示される。それを見ながら力の入れ方をコントロールして、電気信号が出ない動き方を脳に覚えさせていく」と、トレーニング用プログラムの開発に関わったIWAのトレーナーは話す。前田選手もこの装置を用いたトレーニングを受けており、装置を装着したトレーニング後、「体の動きが良くなった」などと話していた。

「体の動きが良くなった」と話した前田選手

 

 IWAでは今後、運営するスポーツ施設を増やしてHALを利用したトレーニングを提供する場面を増やしていきたい考え。「アスリートだけでなく、もっと幅広い層にトレーニングのメソッドを提供していきたい」とIWA JAPANの内田康貴代表理事は話す。一方サイバーダインでも、「福祉分野に加えて、スポーツ施設への展開にも力を入れていきたい」と安永取締役は言う。

 サイバーダインは2014年3月に東証マザーズに上場して大きく注目され、一時は株式時価総額が3000億円を超えるなど、投資家からも大きく注目された。ただ、赤字経営が続いていることや、売上高の増加のペースが遅いことなどから、株価はピークの2600円から大きく低下し、現在は500円台で推移している。2019年3月期の連結決算も売上高が前期比1.1%減の17億900万円にとどまり、営業損益は8億3000万円の赤字だった。スポーツトレーニングやフィットネスという新しい市場に進出することでどれだけ業績を拡大できるかが注目される。

 

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