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(新華社/アフロ)
新型コロナウイルスの感染者数が最も多い湖北省で、「戦時管制」を宣言する都市が出てきた。十堰市張湾区は2月13日から全てのビルを封鎖し、医療関係者らを除く住民の外出を禁じた。違反者は拘束される。医療関係車両や消防車、パトカーなどを除く車両の通行も禁止された。生活必需品や医薬品は、数日おきに要員が各世帯向けに購入を代行して供給する。
十堰市は中国国有自動車メーカー大手の第二汽車製造廠(現在の東風汽車)が毛沢東の指示で創業した土地だ。現在、東風汽車の本社は武漢市に移っているが、今も張湾区には商用車工場などが残る。十堰市張湾区の発表からほどなくして近隣の孝感市に属する大悟県も戦時管制を敷いた。さらに同市雲夢県が14日に、洪湖市が15日に同様の措置を取っている。
事実上の移動制限や外出禁止措置は、すでに湖北省の他の都市や他の省でも実施されている。それにもかかわらず、実際に交戦している相手もいない中で、わざわざ戦時管制を適用する意図は何か。地元政府は「感染拡大防止策を厳格に実施するためだ」と説明している。「戦時」という言葉を使うことによる注意喚起効果も狙っているようだ。
ネット上では厳格な封じ込めを支持する声がある一方、中国メディアでは専門家が「戦争状態かどうかは全国人民代表大会(全人代)と全人代常務委員会が決める」として「乱用すべきではない」と指摘している。極端な施策であるため、中国政府は地域を限定して様子を見ながら範囲を拡大しているとみられる。
湖北省内の複数都市で戦時管制が発表された2月13日に、中国共産党指導部が湖北省の蒋超良・共産党委員会書記(党委書記)と武漢市の馬国強・党委書記を解任したのは偶然ではないだろう。初動対策の失敗による更迭とみられる。新たな湖北省トップには習近平(シー・ジンピン)国家主席が浙江省にいた時代に部下だった上海市の応勇市長が就任し、馬氏の後任は王忠林・山東省済南市党委書記が就いた。
湖北省政府は同日、12日までの感染者数が4万8206人で、前日から1万4840人増えたと発表した。ウイルス検査で陰性でもコンピューター断層撮影装置(CT)による肺炎確認など臨床診断も認定対象に加えたためで、増加分のうち1万3332人は臨床診断によるものだった。感染者の早期治療につなげるためとしているが、湖北省と武漢市の前トップの責任を強調するようなタイミングでの発表だったことは間違いない。
ただ、習国家主席の腹心を湖北省トップに据えたことで、今後の状況次第では批判が中央政府に向かいかねないリスクも抱え込んだ。多くの人に衝撃を与えた戦時管制の発令は、国民の不満が高まる中でもう失敗を許されないという危機感の表れといえそうだ。
一方、広東省の広州市と深セン市は11日、両市の人民代表大会において「感染の拡大を防ぐために、必要であれば組織や個人の土地などを接収できる」とする措置を決めている。企業にも必要な物資を生産、または供給することを要求できるとしている。その後、補償や返還を行うという。
広州市と深セン市は、中国の政治経済の中心都市であることを示す「一線都市」だ。一線都市としては4市があげられることが多く、残る2つは北京市と上海市である。この一線都市を2つ抱える広東省は中国最大の人口を有しており、湖北省に次いで感染者が多い省になっている。自動車や電気製品の組み立て工場や、部品工場などが集積する中国製造業の心臓部であり、今後さらに感染が拡大すれば影響は甚大だ。2月10日から工場再稼働を許可したものの地方政府の担当者が衛生状態などを厳しく見極めており、本格操業には至っていない企業が多いとみられる。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のためとはいえ、戦時管制や土地接収といった対策は、常識的には明らかな「禁じ手」だ。企業は大きなリスクを抱え込みながらの経営を強いられ、ビジネスの継続性にも大きな影響がある。だが、そんな副作用を百も承知で一線を超えなければならないほど、中国政府の状況認識は厳しいということだろう。
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February 17, 2020 at 03:03PM
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