新型コロナウイルスの脅威が、中東とアフリカの紛争地や最貧国を襲っている。
◆具合が悪くても食べるために働く
「病床は新型コロナの患者で埋まり、PCR検査も十分できない。感染症状があっても自宅にいるほかなく、その後家族全員にうつり、病院に来たときには手遅れですぐ死を迎える」。イエメンの首都サヌアの病院で働く男性医師(30)が電話取材に答えた。
中南部タイズの医師は「医薬品を購入する金が無い。患者には闇市場から自費で買うよう頼んでいる」と明かす。100床に対して人工呼吸器は8台しかない上に「供給する酸素が足りない」という。
2015年から内戦が続くイエメンは医療機関の半数が機能を停止。昨夏からコレラの流行が再燃した中で新型コロナが直撃し、「世界最悪の人道危機」(国連)を一段と悪化させている。サヌアで働く女性医師は「具合が悪くても食べるために働かざるを得ず、密集する市場などに行って感染を広げる悪循環だ」と嘆く。
◆実態を反映しない政府の発表
イエメンの医師たちは、いずれも匿名を条件に取材に応じた。感染状況を報道機関に話すのは禁じられ、見つかれば拘束される。それでも窮状を訴えたのは、サヌアや西部を実効支配する反政府武装勢力フーシ派が感染状況を公表していないからだ。
首都で専用病床を設置して治療に当たる「国境なき医師団」(MSF)は「検査データを入手できる立場にない。毎日多くの肺炎症状の患者を受け入れているのは確かだ」という。女性医師は「首都だけで新規感染者は少なくとも1日500人以上に上る」とみる。
「政府発表は実態を反映していない」という声は、アフリカ北東部スーダンも同じだ。西部ダルフール地方は03年以降の紛争で30万人が死亡。いまも難民キャンプが残り、慢性的な貧困と食料不足に悩む。
PCR検査できるのは人口900万人のダルフール地方5州の中で1カ所のみ。北部エル・ファーシルの医師モハメド・アブドラさん(30)は「結果が出るのに1週間かかり、毎日多くの人が『死因不明』で亡くなっている。この街だけで4月下旬以降で約850人に上る」と明かす。政府発表の死者はスーダン全土で668人(15日時点)にとどまる。
◆経済後退で資金拠出に消極的
国際社会からの人道支援も、コロナ禍の影響で滞っている。国連人道問題調整室(OCHA)のスーダン事務所によると、職員は感染防止のため自宅勤務になり、現場での食料支給に遅れが生じている。
国連児童基金(ユニセフ)は先月26日、イエメンでの事業資金が不足して「今後半年間で栄養不良の子どもが20%増えて240万人に達する」との報告書を公表。人道支援には4億6100万ドル(490億円)が必要だが、これまで得られたのは4割弱にとどまる。
経済後退に見舞われる各国が、資金拠出に後ろ向きになっているとみられる。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「最大の脅威はウイルスそのものではなく、国際的な連帯や指導力の欠如だ」と指摘している。
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