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利便性と引き換えに自由とプライバシーを捧げるスーパーシティ法 | | 森裕子 - 毎日新聞

 人工知能(AI)など先端技術を活用したまちづくりを目指す「スーパーシティ法」(改正国家戦略特区法)が5月に成立し、12月からは対象区域の公募が始まる。既に公募に応じることを表明している自治体もあるようだ。スーパーシティ法は一見すると、最新技術を利用した「未来都市」を想起し、希望に満ちたものにみえる。しかし、実際には、個人情報の取り扱いや住民の合意形成をいかにしていくかなど多くの問題を抱える。計画を推進するのは、独自の域内規制ができるなどの強力な権限を付与された、国、自治体、民間で構成する「区域会議」――いわば「ミニ独立政府」だ。住民は利便さと引き換えに自由やプライバシーが犠牲になると強く警鐘を鳴らしたい。

 スーパーシティ構想は、指定区域内で複数分野にまたがる規制を一括して緩和する制度だ。さまざまな情報をオンラインでリンクさせ、自動運転や遠隔医療・介護、キャッシュレス決済、小型無人機ドローンによる自動配送など便利で快適な生活の実現を後押しする。先端技術の活用を進めていくことに反論はない。日本のAIやITの技術発展にも役立つだろう。

 しかし、氏名、住所、電話番号など自治体が保有する個人情報を民間事業者と共有しなければ、きめ細かいサービスを提供できないとされる。政府は、個人情報の提供について対象となる住民の同意を求めるとしているが、公益性など「特別な理由」がある場合は、本人の同意なしに個人情報の目的外使用や第三者への提供が可能となる場合がある。

 「ミニ独立国家の主権者は誰か」。私は今年の通常国会で、この極めてシンプルな問いをテーマに質問した。当時の北村誠吾地方創生担当相は「主権者は国民だ」と原則論を答弁するだけで、どう住民の権利が担保されるかなどに関し、あいまいな答弁を繰り返した。

プライバシーが金もうけに

 スーパーシティ構想では、国や自治体の持つ行政住民データ、企業保有データ、地域データに加え、住民の行動履歴などさまざまな膨大なデータを「データ連携基盤」を介して収集し、有機的に結びつける。このシステムのアーキテクト(設計者)として参加するのは最先端技術を持つ事業者になるとみられるが、この事業者こそが実質的な支配者となりえるのではないか。住民は監視カメラ、顔認証技術を通じて行動を把握され、電子決済の履歴により、どこで何を買ったかも分かってしまう。これこそ管理社会だ。さらに収集されたデータは需要の把握などビジネスにも利用できる。住民のプライバシーが「金もうけ」に利用される可能性がある。

課題だらけの…

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November 19, 2020 at 05:00AM
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