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温室効果ガス排出量 過去最悪の多さに UNEP発表 - NHK NEWS WEB

温室効果ガス排出量 過去最悪の多さに UNEP発表

UNEP=国連環境計画は、去年1年間に世界で排出された温室効果ガスの量が統計を取り始めてから過去最悪の多さになったとする報告書を発表し、各国に対して環境政策の大幅な強化を求めています。

この報告書は、来月2日から地球温暖化対策について話し合う国連の会議、「COP25」がスペインで始まるのを前にUNEPが、26日、スイスのジュネーブで発表しました。

それによりますと、去年1年間に世界で排出された温室効果ガスの量は553億トンと、これまでの排出量を更新して過去最悪の多さとなりました。

報告書では、世界の平均気温の上昇を、産業革命前に比べて、2度未満に抑えるためには2030年の時点で150億トン減らす必要があると指摘していますが、現状では実現が難しく、各国に対して環境政策の大幅な強化を求めています。

特に日本に対しては、石炭火力発電所の建設を中止するほか、再生可能エネルギーを利用することで石油の利用を段階的にやめていくことなどを求めています。

この報告書はCOP25でも取り上げられる予定で、各国が対策の強化につなげられるか問われています。

日本の火力発電 76%に上る

資源エネルギー庁によりますと、昨年度(2018年度)の国内の発電電力のうち化石燃料を使った火力発電は76%に上ります。

燃料別で見ますと天然ガスが38%、石炭が31%、石油などが7%となっています。

ほかの主要国の化石燃料が占める割合は原子力発電の割合が多いフランスが9%、ドイツが57%、温暖化対策に消極的とされるトランプ政権のアメリカが65%となっています。

日本で火力発電の割合が高いのは福島第一原発の事故のあと原発の稼働がゼロになり、火力発電で補う必要があったことが影響しています。ただ海外からは、火力発電のなかでも石炭の比率が高く、石炭火力発電所を新設していることが批判されています。

石炭火力発電の新設について政府は、安定供給と経済性に優れた重要な電源であるとして、環境への影響などをみたうえで問題がないと判断すれば認めることにしています。

また日本がインドや東南アジアなどに石炭火力発電の導入を支援していることについても批判の声もでていますが、これについて資源エネルギー庁は、「日本が輸出する高い効率の発電技術は二酸化炭素の排出を抑えることができ、結果的にはアジア全体の温室効果ガス削減につながる」と説明しています。

日本が取り組む二酸化炭素の回収技術

日本政府はことし6月、地球温暖化対策を進めるための長期戦略を決定。2050年までに温室効果ガスを80%削減し、今世紀後半のできるだけ早い時期に、排出ゼロ=「脱炭素社会」の実現を目指すことを掲げています。

長期戦略では、温室効果ガスの排出を抑えるだけでなく、いったん排出されたものを回収する技術を2023年までに実用化することも盛り込まれています。

このうち、火力発電所などで排出されるガスから二酸化炭素を分離して回収し地下深くに封じ込める「CCS」と呼ばれる技術については実証試験が進められています。

北海道苫小牧市にある施設では、製油所から出たガスに溶液を入れてガスの中の二酸化炭素を吸着させ、分離して回収する作業が2016年4月から今月まで行われていました。

回収した二酸化炭素は、パイプラインで沖合およそ3キロの深さ1000メートルから1200メートルの層と、深さ2400メートルから3000メートルの層の2か所に送り込まれます。

それぞれの層の上には、泥岩などでできた「遮へい層」と呼ばれる地層があり、二酸化炭素を通さないため、長期間、安定して貯留することができるとされています。

この施設では、およそ3年半で合わせて30万トン余りの二酸化炭素を封じ込めたということで、現在、安全性を確認するためのモニタリングが続けられています。

地球環境産業技術研究機構の調査では、国内の地中には、およそ1400億トンの二酸化炭素を貯留できると試算され、これは、日本の年間の排出量のおよそ100年分にあたるということです。

しかし、コストが高いという課題のほか、地中に埋めた二酸化炭素が地震によって外に漏れ出さないかや、深い地層に埋めることで、地震を誘発させるのではないかという懸念も出ています。

さらに、大気から直接、二酸化炭素を回収する技術も研究開発が始まっています。兵庫県明石市にある川崎重工業の工場では環境省の委託を受けて、ことし8月から基礎試験が行われています。

使うのは、「アミン」という二酸化炭素を吸収する性質がある化学物質です。アミンをコーティングした粒をパイプに詰め二酸化炭素を通すと、わずか数分で二酸化炭素濃度は10万ppmから0ppmまで下がります。

しかし、大気中の二酸化炭素の濃度は通常、300から400ppmで、低濃度の大気から二酸化炭素だけを回収する方法を今後、研究する必要があります。

同様の技術は海外でも開発が進められていて、スイスのベンチャー企業はごみ焼却施設の屋上に巨大な装置を設置して二酸化炭素を回収していますが、1トン回収するのにおよそ6万5000円から8万5000円かかり、回収できるのは年間900トンだということです。

これに対して、世界中で排出される二酸化炭素は300億トンを超えると言われています。

二酸化炭素回収の技術について環境省は「まずは再生可能エネルギーを普及させたり省エネを徹底したりして二酸化炭素の排出をできるかぎり減らすことが重要だ。そのうえで、回収技術を実用化してコストなどの課題を解決していくことも合わせて進める必要があると考えている」としています。

温暖化への危機感は世界中に

温室効果ガスを減らさなくてはいけないという危機感は、世界中に広がっています。なかでも若い世代を動かすきっかけになったのは、スウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんです。

グレタさんは、温暖化対策を訴えるため毎週金曜日に学校を休んで抗議を行ったことから、「未来のための金曜日」として世界中で多くの若者が参加する運動となりました。

世界の大企業も温暖化対策に積極的に動き始めています。業務で使う電力を2050年までにすべて再生可能エネルギーで賄うことを目指す「RE100」という取り組みには、マイクロソフトやBMWのほか、世界の大手企業を中心に200社余りが参加し、日本からもイオンや富士通など参加する企業が増えています。

また、市民の環境意識が企業を動かした例もあります。航空業界です。国土交通省の試算では飛行機で1キロ移動する際に排出される乗客1人当たりの二酸化炭素は、鉄道と比べると5倍ほどとされていて、グレタさんもこうした理由から飛行機に乗らないとしています。

ヨーロッパでは長距離の移動手段に列車を選ぶ動きも出ていて、航空機に乗るのは恥ずかしいという意味の「飛び恥」ということばも生まれました。

こうした動きを受け、フランスの航空会社「エールフランス」はことし10月、来年から国内便の運航によって排出される二酸化炭素について、植林事業などで削減される分を買い取ることで、100%相殺すると発表しました。また、KLMオランダ航空は、鉄道会社と連携し、500キロ以下の路線を鉄道などに置き換えることを検討していると明らかにしています。

専門家「焦り感じるべき状態」

国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多副センター長は「パリ協定では世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度に抑える努力をすることになっているが、そのためには2050年には温室効果ガスの排出量をゼロにするペースで減らしていかないといけない。まず1年でも早く減少に転じなければいけないが2018年に増えてしまったのは焦りを感じなければいけない状態だ」と指摘しました。

そして「日本が石炭火力発電所を新設していることに国際的に批判が寄せられている。近年、大きな水害や猛暑を経験したことも踏まえて、気候変動を止めるための施策をもう一度、真剣に考えなければならない。パリ協定が来年から本格的に始まるが、来月、開かれる『COP25』で各国がどのような取り組みを示すのか、注目される」と話していました。

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November 26, 2019 at 05:29PM
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