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日本酒オタクな店主に聞く、もっと知られて欲しい「ちょっとマニアックな日本酒」10選 - メシ通

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いつの間にか進化を見せていた日本酒の世界

日本酒にはさまざまな味わいがあり、華やかな甘い香りが特徴的なものや、キレが良いさっぱりした味わいが楽しめるものまで、いろいろな種類の日本酒があって、非常に奥が深いんです。

でも、沢山の数の日本酒が世に出回っていることで「自分にぴったりな1本を選ぶ方法がわからない」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

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そこで今回は、台東区の酒類販売店「酒のフタバ」のオーナー・関明泰さん(以下関さん)にインタビュー。

関さんは、利き酒大会や角打ちフェスに出店するなど「日本酒本来の味わいや奥深さ」「まだあまり知られていない日本酒の魅力」を知ってもらうためのイベントにも積極的に取り組んでいる、日本酒のマニアであり、日本酒の達人

お店には、関さんの「目利き力」を活かした素晴らしい日本酒が並んでいます。日本酒といえば、どこか「変わらないもの」「保守的なお酒」というイメージがありますが、関さんの選ぶ日本酒はどこか新しい感覚のものばかりです。

「酒のフタバ」イチオシ。いまこそ試して欲しい日本酒・10選

──関さんはお店に置く日本酒をどのように選んでいるのでしょうか? 本当にたくさんの種類がありますよね。

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関さん:昔のように、大量生産のお酒がなかなか売れなくなっている現状がありまして。「ひとりでも多くの方々に美味しいお酒を飲んでいただくためにはどうすれば良いのか」と思考錯誤している蔵元さんも多いので、一人ひとりのお話を聞いて置くお酒を決めています。

──ちなみに、関さんご自身がお好きなもので、皆さんにもっと飲んで欲しいと思っている日本酒はどういうものなのでしょう?

関さん:まずは、「東京」というお酒です。よろしければ、味見してみますか?

──いいんですか? では遠慮なく……ひとつめは「東京」という名前のお酒ですか。ラベルのデザインも可愛いですね。

東京都・豊島屋酒造株式会社「TOKYO純米吟醸」(720ml・1,914円)

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関さん:東京の酒屋って、地方の日本酒を扱うことが多いんですよ。でも、東京の酒蔵にも水や米にしっかりこだわって日本酒づくりに取り組んでいる人たちがたくさんいる。だったら東京のお酒を売らないか? という想いでつくられたお酒です。

──さっぱり飲みやすくて甘い。芳醇な香りもとても良い。すっと身体に沁み渡るような日本酒ですね。

関さん:ワイングラスで飲んでも香りが立って美味しいんですよ。

千葉県・和蔵酒造株式会社「江戸鳥越 初しぼり」(1800ml・2,860円)

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関さん:浅草の隣で開催する「鳥越祭り」という有名なお祭りがあるのですが、「鳥越」を冠したお酒はなくて。「浅草酒販協同組合に所属する有志メンバーでつくってみよう」ということで酒蔵に伺って、酒造りから手伝わせてもらったものです。

──キリッと辛く、どっしりした味わいが特徴的ですね。

関さん:鳥越祭りでは「千貫神輿(せんがんみこし)」と呼ばれる重さ約4tの神輿を担ぐのですが、それにインスピレーションを受けた力強くどっしりした味わいです。

──甘口、辛口と味わいの違う2種類の日本酒をいただきましたが、お酒ってどこをどう選べばいいのか、本当に悩んでしまいます。

関さん:「自分にはどういうお酒が向いているのか」って、酒屋に入ってラベルだけ見て選ぼうと思っても難しいですよね。自分の好みを見つけるのが大切なのではないでしょうか。

──自分の好みを見つける、と。

関さん:はい。いろいろな酒場でお酒を味わいながら、好きなお酒とその酒質(※品質や特徴)をメモしておいて酒屋に相談するのが一番だと思います。

──まずは飲みに行くのが大事ということですね。

関さん:そうですね! 最近は酒屋にも角打ちがあって試飲できたりするお店も増えてきたので、まずは飲みに行ってみるのがなにより大切です。市場にはあまり出回っていない日本酒を置いていることもあるので、面白いですよ。

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▲酒のフタバさんにも角打ちスペースが。特に祝前日は老若男女問わず賑わう

──好きなアーティストのCD購入を目当てにレコードショップに行ったら、新進気鋭のアーティストに出会ってしまうような……。こうしてどんどん日本酒沼にハマっていくのですね。

福岡県・株式会社いそのさわ「あいすえいじ3Q」(720ml・1,760円)

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関さん:こちらはまたタイプが違う、甘口のにごり酒です。チョコレートに合うお酒としてイベントでも好評だったんですよ。

──ヨーグルトや甘酒のような、濃厚な甘みを感じます。

山梨県・株式会社萬屋醸造店「うぐいすの囀り 玉栄」(720ml・1,540円)

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関さん:こちらは「玉栄(たまざかえ)」という滋賀の米を山梨に持って行き、蔵の裏にある畑で栽培、収穫した米でつくったお酒です。山梨には山菜など山の食べ物が多いので、それに合わせた風味の酒造りをしているのが特徴ですね。甘めなものが多いです。

──山梨県産の日本酒ってなかなか見かけない気がします。

関さん:山梨県は主にワインの産地なので、あまりお店に行っても出てこないかもしれませんね。最近では「七賢」さんのスパークリング日本酒が話題になりました。ちなみにフタバ酒店は東京唯一、山梨県酒類業懇話会から「山梨県産酒を飲めるお店」に認定されています。

──貴重なお酒と出会えるのも酒店ならではの醍醐味ですね。

長野県・株式会社舞姫「翠露」(1800ml・3,190円)

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関さん:長野県産の美山錦を使用したバランスがよいお酒です。秋上がり(※夏を超え、香味が円熟し、旨味がのった日本酒)にしているのでまろやかな味わいが楽しめますよ。

──バランスがよく、飲みやすい印象です。

山形県・浜田株式会社「山五 出羽燦々」(720ml・1,980円)

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関さん:これは沖正宗という銘柄が有名な、昔から東京に出荷している酒蔵さんです。古くから親しまれている日本酒なんですよ。今までは昔ながらの造り方で造っていましたが、今年から工場を設置して温度・湿度管理など徹底して造り始めたそうです。

──渋いラベルも格好良い! 甘みもありながらスッキリした味わいで飲みやすいです。 

岩手県・株式会社あさ開「酔候」(1800ml・3,080円)

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関さん:「あさ開」という大きな酒蔵の業務用のお酒です。「酔候(ヨーソロー)」は船の言葉で「出発」「まっすぐ行け」という意味があるんです。「酒造りもまっすぐ行こう」というコンセプトが素敵なんですよね。

──すっきりとした透明感のある喉越しのお酒ですね。まるで水のようにごくごく飲めてしまいます。

栃木県・杉田酒造株式会社「いちごの里の米で造った純米酒」(720ml・1,760円)

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関さん:着色料不使用の天然の色なんです。ラベルに「いちごの里」と記載がありますが、本当に苺ジュースを飲んでいるかのような錯覚を覚えるお酒ですね。

──フルーティーな酸味もあって、ちょっとスムージーのようです。

大阪府・山野酒造株式会社「酒屋魂」(1800ml・2,546円)

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関さん:全国の酒屋の青年会がスローガンとして「酒屋魂」を掲げ、大阪の酒屋さんが商品化した日本酒です。今までは比較的変わり種をご紹介してきましたが、非常に飲みやすくベーシックなお酒ですね。

──非常に飲みやすいです。どちらかといえば甘口の飲みやすいお酒ですね。

千葉県・木戸泉酒造株式会社「アフス」(500ml・1,650円)

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関さん:ラストは「アフス」。千葉の海沿いにある酒蔵さんで、酸(酸味)が強いお酒を多く扱っているんですよ。ちなみに、このお酒は「高温山廃一段仕込み」(※米・米こうじ・水を55度という高温で仕込み、酵母菌を加え乳酸発酵を強調させた木戸泉酒造独自の仕込み方法)でつくっています。

──匂いは普通の日本酒なのに、飲むと白ワインの味……! 日本酒ってこんなに酸っぱくなるものなんですね、すごい。

日本酒はもっと自由に楽しんでいい。原酒なら「ロック」もオススメ

──ここまでいろいろ伺ってきましたが、自宅で日本酒を美味しく飲むコツってありますか?

関さん:いろいろな温度帯で飲んでみる」ことです。お店で飲むとどうしても定められたものになってしまいますが、家であれば断りなく自由にできるので。たとえば「生酒を熱燗にしたらどんな味になるんだろう?」と遊び心を持って試してみるのも良いと思いますね。

──理科の実験みたいですね。「これを混ぜたらどうなるんだろう」と考えてみたり。器選びのコツはありますか?

関さん:アルコール感が強い原酒は氷を入れてロックで飲むのがおすすめですね。生酒ならグラス。味わいがしっかりしたものは陶器がいいですね。好みは人それぞれなので、そのときどきの雰囲気で選ぶのも楽しいと思いますよ。

──なるほど、酒器も大事なんですね。では、いざ酒器を決めたあと、酒のアテってどうやって選んでますか? いつも「このお酒には何が合うのだろう」と試行錯誤しながら選んでいるのですが……。

関さん:辛いお酒であれば辛いつまみ、甘いお酒であれば甘いものを選ぶのがオススメです。あとは、土地の特徴を理解しておくと良いかもしれません。山菜が多いから甘いお酒を選んでみるなど。

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▲左から「元気ハツラ酒」「酒うさぎ」「清流」「酒ルティードッグ」(各600円)

関さん:また、「酒のフタバ」では、日本酒のアレンジメニューも提案しているんです。たとえば、「元気ハツラ酒」(画像左)。辛口の日本酒にオロナミンCを入れたもので、流行のレッドブルウォッカから着想を得ました。

──レッドブルウォッカより飲みやすくて美味しいですね。飲んでみるまで本当に合うのか心配でしたが、意外や意外、どちらの持ち味も発揮されておいしいです。

関さん:「酒うさぎ」(画像左から2番目)は、にごり酒をベースに牛乳を入れたものです。

──朝飲みたいくらいの爽やかな味ですね...!日本酒を飲んでいるような気がしないくらいすっきり馴染みます。

関さん:「清流」(画像左から3番目)は、日本酒をベースにブルーキュラソーリキュールとレモン、ライムを加えています。

──日本酒を使ってここまで清涼感があるって、珍しい気がします。

関さん:これは「酒ルティードッグ」(画像一番右)。日本酒と塩は抜群に相性が良いので、ソルティドッグを手本につくりました。老若男女問わずウケています。

──ソルティードッグよりも甘さが控えめで良いですね。塩、やはり合います……。

固定概念を捨てよ、酒を飲もう

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「お酒は『嗜好品』なので『この食事にこのお酒は合うな』など、いろいろな考えを持って飲んでもらえたら嬉しい。能書きから入ってしまう方が多いのですが、もっと気軽に飲んでいただけたら」と語ってくださった関さん。

お酒を通して会話が弾んだり、人と人とが繋がるきっかけになったらそれは何より幸せなことではないでしょうか。

「固定概念を捨てよ、酒を飲もう」

今日も、酒場に繰り出そうと思います。

お店情報

酒のフタバ

住所:東京都台東区蔵前4丁目37−4
電話番号:03-3861-1138
営業時間:10:00~21:00(※角打ちも同時間
定休日:日曜日・祝日
公式ページ:http://futaba.la.coocan.jp/

書いた人:ふつかよいのタカハシ

ふつかよいのタカハシ

三度の飯より酒が好きなライター。主戦場は赤提灯酒場。365日中、300日は飲酒。1人でも多くの人と盃を交わすための我が人生。合言葉は「約束はいらない、酒場で会おう」。酒情報を楽しく発信する「酔いどれnote」やってます。

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