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CMFが“タフに使え!”と語りかける:いまなお進化し続けるクォーツ時計のゲームチェンジャーG-SHOCK|WIRED.jp - WIRED.jp

「落としても壊れない丈夫な時計」。この一文からクォーツ時計の革命を起こしたゲームチェンジャーたる時計こそ、2019年、国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録された初代G-SHOCK「DW-5000C-1A」だ。普遍とも言えるスクエアのデザインをまといながら、発売から35年たったいまも、着々と進化していることはあまり知られていない。メカニカルなアップデートだけでなく、真の“壊れない丈夫さ”を実装するためにG-SHOCKが探求する“CMF”とは何か。カシオ計算機の心臓部とも言える羽村技術センター 開発本部 時計企画統轄部 リーダーの赤城貴康に訊いた。

ファーストG-SHOCKのDNAを受け継ぐ35周年モデル「DW-5035D-1BJR」(左)とフルメタルケースモデルの「GMW-B5000D」。どちらもオリジナルモデルへのオマージュとして、フェイスデザインはもちろん、液晶パネルやメインの表示レイアウトなど、ディテールまで徹底的にこだわってデザインされている。

CMFが表す形態の機能

アメリカ建築の三大巨匠のひとりとして謳われるルイス・サリヴァンはかく言う。「形態は機能に従う」、と。そのとき、頭に思い浮かべるプロダクトはいくつあるだろうか。“壊れない丈夫な時計G-SHOCKを思い浮かべる人も少なくないはずだ。

いまでこそ壊れない丈夫な時計は数多あるが、その“オリジン”はG-SHOCKと言って、間違いはないだろう。「時計は落とせば壊れる」。精密機器であるがための“疑う余地のない常識”を疑ったからこそ生まれたのが、初代G-SHOCK「DW-5000C-1A」だ。

そのユニークなコンセプトに加え、タフさを体現する「外装」、あらゆる衝撃から時計の心臓部たるモジュールを守る「中空構造」、そして創業事業である計算機の技術を応用し、小型化を実現した「モジュール」によって、クォーツ時計の概念を塗り替えたエポックメイキングなプロダクトであることは、ご存じの通りだ。

だが、コンセプトやデザインが鮮烈な分、看過されてしまうが、優れているのは、それだけではない。もうひとつG-SHOCKをG-SHOCKたらしめる因子がある。「CMF」だ。

すべての物理的なものには表面がある。ゆえに「CMF」、すなわちカラー(C)、マテリアル(M)、フィニッシュ(F)というメイキングプロセスを経て、プロダクトとなる。

カシオ計算機の心臓部、羽村技術センター。いまから35年前、ここからG-SHOCKの歴史が始まった。

簡単に言えば、色はどうするか、素材は、仕上げは、とプロダクト落とし込む際の肝になるプロセスと言っていいだろう。このCMFの秀逸さこそが、G-SHOCKの存在を浮き彫りにする。

なぜ、CMFが重要なのか。それはプロダクトの“顔”となる表面を規定し、用途、あるいは使い方を、プロダクトからのメッセージとして、ユーザーに伝えることで、体験性を加速させるからである。

例えば、G-SHOCK「DW-5000C-1A」は汚れが気になりにくいブラックなカラーリング、衝撃を吸収するウレタン樹脂をベゼルとベルトに使ったマテリアル、そして傷がつきにくいマットな仕上がり(フィニッシュ)をまとっている。

G-SHOCKは、あらゆるプロダクトやサーヴィスに総合的な体験のデザインが求められるいまの時代を先取りするかのように、UI、UXの観点から“タフに使え”と語りかけてくるのだ。

「デザインから始めない」という哲学

カシオにはものづくりにおいて、ひとつの哲学がある。それは「デザインから始めない」ということだ。G-SHOCKのみならず、創業事業の計算機など、すべてのカシオ・プロダクトに通ずるアイデンティティである。

それは言い換えると、カシオは多くの時計メーカーと違い、モジュールの設計などの時計内部から、開発が始まることを意味する。

羽村技術センター 開発本部 時計企画統轄部 リーダーの赤城貴康は、まさに初代G-SHOCK「DW-5000C-1A」に憧れてカシオ計算機に入社した。入社から9年後に初めてG-SHOCKを担当したときの喜びはいまも鮮明に記憶しているという。

「GPSやBluetoothなど、新たなるテクノロジーが登場し、時計の機能として加わるたびに、モジュールのサイズが変わります。エンジニアから上がってきたそのモジュールを、いかに時計のデザインを変えずにベゼルに納めるか。G-SHOCKシリーズにおいて、デザイナーに求められる最重要課題です」とカシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 時計企画統轄部 リーダーの赤城貴康は言う。

なかでも“G-SHOCKのオリジン”とも呼ばれる初代モデル「DW-5000C-1A」はオールドファンが多く、デザイナーたちは「デザインを変えない」という、ただその一点にフォーカスし次々に改良されるG-SHOCKを世に送り出さなければならない。

テクノロジーの進化に合わせたメカニカルな部分のアップデート以外は、およそ完成形と思われたG-SHOCKだが、まだ発展途上のパーツがあった。それはマテリアル、すなわちベゼルとベルトだ。初代G-SHOCKの代名詞とも言えるウレタン樹脂は石油由来の素材だ。ゆえに、素材の宿命である“経年劣化”という時限的問題を抱えているからだ。

「落としても壊れない丈夫な時計」を標榜するG-SHOCKは、衝撃を構造として吸収し、モジュールを守る「中空構造」だけでは成立しない。

「素材自体が衝撃を吸収することも、G-SHOCKたらしめる理由のひとつです。しかし、経年とともに素材が劣化してくということは、“壊れない”という部分がいずれ担保できなくなるということでもあり、G-SHOCKの最大の懸念でもありました」と赤城。

硬質なベゼルに対して、いかに耐衝撃性を確保するか。その課題にベゼルとモジュールの間に緩衝材となるファインレジン(赤いパーツ)を挟むことで、フルメタルケースでも耐えうる新たな耐衝撃構造を開発した。

そして、「もちろん、経年や衝撃に強い素材はありますが、硬質になるほど、衝撃をモジュールにダイレクトに伝えてしまいます。ウレタン樹脂のような“モジュールを衝撃から守る”という素材特性の部分を、どのように補うかが最大の課題でした」と続ける。

もちろん、デザインを大きく変えてベゼルとモジュールの間に緩衝材を入れてしまえば、簡単に解決する問題かもしれない。しかし、オールドファンたちが頷ける“G-SHOCK”のデザインを保つ、という付帯条件が加わると、その障壁は一気に高くなる。

“デザインを変えない”。このひとつの条件が、赤城をはじめとした開発本部のデザイナーたちの頭を多いに悩ませていた。

起死回生の「ファインレジン」

だが、その進化を可能にしたのが、ベゼルとモジュールの僅かな隙間を埋める緩衝材となる「ファインレジン」というアイデアだった。

ファインレジンとは、軽さ、硬さ、しなやかさを備えながら、それでいて耐用性に優れた強化プラスティックだ。緩衝材にこれほどまで適した特性をもった素材によって生み出された耐衝撃構造が、硬質な素材でベゼルをつくることを可能にしたのだ。

そして、初代モデルDW-5000C-1Aの発売から35年。宿願として抱えていたベゼル素材の進化を、「フルメタルケース」をもってようやく実装したモデルが、「GMW-B5000D」である。

「『GMW-B5000D』は、ファインレジンを使ってG-SHOCKのコアテクノロジーである中空構造を見直しています。それによって、耐衝撃構造を進化しました。さらに、外装とモジュールも進化させることで、このフルメタルケースをまとったG-SHOCKが実現できたのです」と赤城は話す。

35年の間、脈々と続くコンセプトはそのままに、時計としてのクオリティをモディファイし続ける。外装、構造、モジュールの進化に磨きをかけ、フルメタルを纏った最高傑作のオリジンが誕生した。

しかし、フルメタル仕様GMW-B5000Dは、進化の途上でしかない。ここからさらに新たな可能性を見出し、G-SHOCKのオリジンであり、唯一無二のマスターピース「DW-5000C-1A」をモデルとしたG-SHOCKは、いまなお進化し続ける。

[ CASIO|G-SHOCK ]

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December 11, 2019 at 02:00PM
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