去る2019年12月9日、中国のスマートフォンメーカー大手であるシャオミが日本進出を発表しました。かねてより日本進出を認めていたシャオミですが、当初2020年の参入予定とされていたのを、突如時期を早めて2019年末の参入を打ち出したようです。
▲シャオミは2019年12月9日に日本進出を発表。当初より前倒しでの日本参入を打ち出したことで驚きをもたらしていた
日本参入は「スマホだけ」ではなかった
そして日本市場に向けて投入される最初の製品となったのは、「Mi Note 10」と「Mi Note 10 Pro」でした。両機種ともに1億800万画素という驚異的な画素数のカメラを含む、合計5つのカメラを搭載するなどカメラに非常にこだわった端末というだけでなく、Mi Note 10で5万2800円と、シャオミらしいコストパフォーマンスの高さでも話題となりました。
▲シャオミが日本進出に当たって投入したスマートフォン「Mi Note 10」。1億800万画素のカメラを搭載するなどカメラ機能に注力しながら、5万円台の価格を実現している
ですが、シャオミが日本市場に投入するのはスマートフォンだけでなく、ウェアラブルデバイスやモバイルバッテリー、スーツケースなども投入することを発表しています。中でも大きな話題となったのは、炊飯器「Mi IH炊飯器」を投入したことでしょう。
▲Mi Note 10の価格と同じくらいの驚きをもたらした「Mi IH炊飯器」。炊飯器としての質だけでなく、スマートフォンで遠隔操作できる点も特徴となる
Mi IH炊飯器は、かつて三洋電気やパナソニックで炊飯器の開発をしていた内藤毅氏と共同で開発するなど炊飯器としての質にこだわりながらも、5.5合炊きで9999円と、低価格であることが大きな特徴。それに加えてWi-Fiに接続でき、スマートフォンと連携して遠隔で炊飯を開始できるなど、スマート家電としての要素も備えているのも注目すべきポイントといえます。
シャオミが日本進出にあたり、スマートフォンだけでなく炊飯器も投入するというのは意外に感じる人も多かったと思います。ですがシャオミは現在スマートフォンだけでなく、ヘルスケア製品や家電、鞄や玩具など非常に幅広い製品を手掛けており、それを自社ショップ「Mi Store」を通じて販売しているのです。
それゆえ今回の発表では、日本でもスマートフォンだけでなく、同社が扱う幅広い製品を販売していくことを明確に示したといえるでしょう。炊飯器というチョイスに意外性はあったものの、同社の戦略としては妥当なものといえる訳です。
▲シャオミは中国などいくつかの国で自社製品独自のショップ「Mi Store」を展開。スマートフォンだけでなく家電やさまざまなグッズも販売している
確かにスマートフォンに関しては、電気通信事業法の改正で携帯電話会社の大幅値引き販売が実質的に禁止されたことで、シャオミのコストパフォーマンスが生きることから日本市場に入り込む余地が出てきたといえるでしょう。ですが炊飯器などの家電などに関しては、日本市場に参入してもどこまで成功が収められるか?というのは未知数な部分があるというのが正直なところです。
理由の1つは、日本には高価格帯だけでなく、アイリスオーヤマなどのように中・低価格帯でも強さとブランド力を持つ家電メーカーが多く存在すること。そしてもう1つは、日本ではスマートホーム環境があまり広まっておらず、シャオミが得意とするスマートホームへの対応が、消費者にはあまり刺さらないことです。
にもかかわらず、シャオミがスマートフォンだけでなく、家電などの市場開拓にも意欲を見せているのはなぜでしょうか。その理由を考えると、ある意味で行き着くのが同じ中国のファーウェイ・テクノロジーズの戦略です。
スマホを軸とした「製品群」が重要に
というのもファーウェイは、2019年より中国を皮切りとして、日本でも「1+8+N」という戦略を打ち出しているのです。これは「1」となるスマートフォンを中心として、「8」となるウェアラブルデバイスやPC、スマートスピーカーなどスマートフォンを支えるスマートデバイス、そして「N」となるスマート家電など、さまざまなIoT機器をシームレスにつなぎ、AIを活用した新しい生活環境を提供するというものです。
▲ファーウェイ・テクノロジーズが日本でも推し進めようとしている「1+8+N」戦略。スマートフォンを軸としながら、自社のさまざまな機器をシームレスにつないで新しい価値を提供するのが狙いだ
それゆえファーウェイ・テクノロジーズは最近、スマートフォンだけでなく「8」を構成するスマートデバイスを強化する動きを見せており、それらのデバイスに独自OS「Harmony OS」を搭載し、さらに独自のプラットフォームであるHuawei Mobile Service(HMS)の採用・強化をを進めようとしています。
同社は米国から制裁を受けビジネスに制約が出てきているだけに、スマートフォンを中心としながらも自社のエコシステムを広げることによって、将来的に米国企業に左右されない、独自のプラットフォームを構築していきたい考えがあるといえそうです。
もちろん、米国から制約を受けている訳でもなく、独自のOS開発を表明している訳でもないシャオミが、ファーウェイ・テクノロジーズと同じ戦略を取るかは分かりません。ですが世界的にスマートフォンの市場が飽和傾向にあることから、一時は非常に強い勢いのあった中国メーカーも淘汰が進んでいる状況で、スマートフォンの販売だけで事業を拡大していくのには限界があるのも事実です。
▲一時は中国でシャオミに並ぶシェアを獲得していたGioneeが破産するなど、かつて勢いのあった中国のスマートフォンメーカーも市場飽和が進む現在では再編が進みつつある
それゆえ今後スマートフォンメーカーは、スマートフォンを中心としながら、いかに幅広いハードウェアを提供し、いかに自社独自のエコシステムを広げられるかが勝負となっていきます。
そうした時に、スマートフォンだけでなく多数のスマート家電ラインアップを持つシャオミは、高いポテンシャルを持ちます。日本でもこうした競争環境の変化を見越して、最初からスマートフォンと、家電などを主体としたスマートホーム関連機器の"二兎を追う姿勢"を打ち出したといえそうです。
ですが、二兎を追うにはまず一兎。つまり日本のスマートフォン市場で成功を収めることが必須です。しかしながら、先日の発表会を見る限り、製品にインパクトはあったものの日本での明確な戦略の方向性はあまり明確に打ち出されていませんでした。現時点ではポテンシャルがあるからといって、日本で成功を収められるかは未知数というのが、筆者の正直な見方です。
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December 17, 2019 at 09:10AM
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日本で炊飯器を投入したシャオミに見る、変化しつつあるスマホの競争軸(佐野正弘) - Engadget 日本版
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