ここ数か月、ロシアはデジタル技術とインターネットインフラについて国内の統制を強化する取り組みを進めてきました。11月には有事の際に外国との通信を遮断する権限を政府に与える「主権インターネット法」が成立しています。
そして12月24日、ロシア情報技術・通信省は「Runetの安定性を確保するための演習」に成功したと発表しました。これは有事を想定したシナリオで機能するロシア独自のコンピューターネットワーク「ソルブリンネット」を稼働させる演習で、ロシア国営のイタルタス通信はロシア当局と通信事業者の合同で行われましたと伝えています。ロシアでWebを利用する一般ユーザーも対象となる内容でしたが、ロシアのPravda紙は「演習の対象となった一般ユーザーは気づきすらしなかった」と指摘しています。
ロシアが独自の国内ネットワークの構築を目指す要因として、インターネットが米国発祥の技術である点に危機感を抱いていることがあげられます。プーチン大統領は「インターネットはCIA発祥のプロジェクトだ」とかつて主張したこともありましたが、これはWebの父ティム・バーナーズ・リーによって否定されています。
一方で世界のドメイン名を統括する非営利組織ICANNは米国内にあり、トップレベルドメインを管理するルートサーバーは世界に13個あるうち10個が米国に存在します。現在の米国の戦略からは考えにくいシナリオですが、米国が影響力を行使すれば、特定の国からのインターネット通信を遮断できる、かもしれないというのが米国と対立する国が危機意識を抱く背景にあるのでしょう。
ロシア当局による発表は具体性に欠く面があり、ロシアがどのようなメカニズムでインターネットをブロックするつもりなのか、またそれが実効性のある仕組みなのかは推測の域をでません。1つ予想できるものとしては、ロシアがすべての通信会社と連携し、海外との接続点に統制を加える方式が考えられます。仮にこのような仕組みが実現すれば「国家レベルの巨大なイントラネット」としてインターネットとの接続性を確保しながら、ネットワーク自体は独立させることが可能となります。
また、中国やイラン、サウジアラビアといった国では、インターネット上での通信への制限を実際に行っており、独自の検閲システムとして機能しています。特に中国ではグレート・ファイアーウォール(金盾)と呼ばれる巨大検閲システムによって海外の多くのアプリやインターネットサービスが規制されており、これが中国独自のアプリ事業者に繁栄をもたらす結果に繋がっています。
ロシアでは最近、同国製のアプリがプリインストールされていないスマホやPCの販売を禁止する法律が成立するなど、自国のデジタルサービスの発展を助けるための政策も進めています。自国のWebサービスへのユーザーの囲い込みにおいても、国家レベルの"ネット鎖国"は効果を発揮してしまう可能性があります。
一方でインターネットはここ20年ほど、国境を越えた自由な通信によって発展してきた側面があります。現在でも完全に国家レベルでWorld Wide Webから完全に断絶されたネット空間は存在していませんが、中国やロシアのような超大国によるインターネットの「バルカン化」が続き、他の国も追随していくような事態になると、今後のインターネット世界の様相は大きく様変わりしてしまうかもしれません。
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December 27, 2019 at 06:18AM
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ロシア、「インターネット鎖国」のテストに成功したと主張 - Engadget 日本版
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