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女性ピアニスト 建設会社の社長になる - NHK NEWS WEB

女性ピアニスト 建設会社の社長になる
北海道の十勝地方で建設会社を率いる、ある女性社長がいます。

まだまだ“男社会”と言われる建設業界の最前線で活躍するこの社長。
実はプロのピアニストという、もう一つの顔を持っています。

困難な仕事を見事に両立している彼女が、世の女性たちにどんなメッセージを伝えたいのか、聞きました。(帯広放送局記者 佐藤恭孝)

ため息をつかない

取材でお会いしたのは、北海道音更町にある建設会社「道東基礎工業」の川上敦子さんです。

社長に会う前、プロのピアニストと社長業を両立するなんて、どんなスーパーウーマンだろうと思っていました。

しかし、実際にお会いした川上さんは実に自然体。力みも照れもない、まっすぐな視線が印象的でした。

会社の従業員は約40人。建設工事の最初に必要となる、くい打ちなどの基礎工事を手がけています。

川上さんは、道内各地にある現場を回ったり、社員の健康管理に気を配ったりと、忙しい毎日を送っています。

川上さんは、社長に就任する時に心に決めたことを一つ、守り続けています。

それは「ため息をつかない」ということ。
「上に立つんだから、やはり(社員が)不安になることを持ち込んではいけない」と川上さんは話します。

川上さんは、会社の主な業務である基礎工事という仕事が好きだといいます。

川上さん
「北海道の広々とした原野に、まず第一番に入り込む、そこにとても魅力を感じるんです」

そのことばに開拓者精神のようなものを感じます。

女性が働く環境を整える

まだまだ“男社会”の建設業界。

川上さんには心残りがあります。

5年ほど前、現場で働く社員に、ある女性が応募してきましたが、採用を見送ったのです。

川上さん
「大変一生懸命な方だったので、面接をして。ただ残念なことに、最後決められなかったんですね。女性である私がトップにいる企業なのに、意欲のある女性を雇用できなかったということが、ずっとひっかかっている」

しかし最近、現場で働く女性が入社しました。

川上さんは「会社としては初めての現場の女性も入社しましたので、まだ道は長いですが、女性が働きやすい場になってきたと思います」と話します。

もう一つの顔は

夜、仕事を終えた川上さんは、もう一つのプロのピアニストとしての顔を見せてくれました。

毎日、仕事が終わって自宅に戻ると、ピアノに向かい、日付が変わるころまで一心不乱に練習します。

川上さんは、帯広の高校から横浜の大学に進み、卒業後、イギリスに渡って、有名なピアニストのもとで5年余り勉強しました。そして帰国後は、東京を拠点にプロとして演奏活動をしていました。

しかし、転機を迎えます。
建設会社を経営していた父親が体調を崩したことで、音更町に帰郷。6年前に社長として会社を継ぐことになったのです。

両立の秘けつは?

ピアニストと建設会社の社長。

一見、両立は難しいようにも思えます。建設会社を継ぐことに迷いはなかったのでしょうか。

川上さんに尋ねると「その責任を私が負えるのかということは考えました。しかし、みんなの支えで何とかやっていけるだろうと。私はひるむタイプではなく、父もそれは分かっていたと思います」と笑いました。

さらに北海道に住むことは、ピアニストとしての利点もあるといいます。

川上さんは「北海道の、のびのびしたところで育っているので、もっと自由に弾けたらいいなというのもあったので。ここにいても、人といろいろつながっていれば、演奏活動も変わりなく続けていけるだろうと思っています」と話してくれました。

川上さんは、忙しい社長業をこなしながらも、プロのピアニストとして活動も着実に続けています。

音更町で少年時代を過ごし映画「ゴジラ」の作曲などで知られる作曲家の伊福部昭氏と親交があり、新曲の初演も担当しました。

悩みを抱えつつやる

どうしたらプロのピアニストと社長業を両立できるかと聞いてみると「私のベースはここだと思っていますね。ピアノだけじゃなくて、会社があってこそピアノができるというのもありますので。私の中では切り離して考えることができないです」と自然体で語ります。

頭の切り替えが大変では、という記者の質問には「仕事とピアノの切り替えなんてできない。もう一方の悩みを抱えつつやる、それが自分」と言っていたのが、とても印象的でした。

今ここにあることを

社長業と音楽活動の両立を始めて6年。
最後に、将来の進路に悩む若い女性たちに川上さんからのメッセージです。

川上さん
「先々計画をたてて、何年後にはこうなりたいとか、こうしたいとかいうことが私一切ないんですね。それはそれで若い時は悩んだんですよ。やはり人任せにするとか、何かにまかせるというのではなくて、今ここにあることを、ともかく一生懸命やっていれば、見えてくるということが分かってきたんですよ。悩んだ時は過去を振り返る。自分が生きてきた道のりを振り返れば、今、何をすべきか分かると思っています」

厳しいけど美しい自然への思い

社長兼ピアニストという強烈な肩書からは想像できないほど、自然体の川上さん。

どちらの分野でも人一倍の努力をしてきたのでしょうが、それを表に出さないところに逆に強さを感じました。

繰り返し言われたのが「どんな音楽も自然と結び付いている」ということば。

厳しいけど美しい北海道の自然への思いが、社長としても、ピアニストとしても、川上さんの頑張りを支えているのだと感じました。

帯広放送局記者
佐藤恭孝
新聞社勤務ののち
平成14年入局
広島局、釧路局をへて
現在、帯広局で行政と防災を担当

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December 09, 2019 at 04:19PM
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