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「外遊び 休校趣旨に反する」 地域住民意見に保護者ら困惑 - 信濃毎日新聞

 新型コロナウイルスの感染防止を目的とした臨時休校を巡り、休んでいる児童や生徒が公園で遊ぶのは趣旨に反する―との住民の声が寄せられたとして、千曲市屋代中学校が保護者に注意を促すメールを送っていたことが5日、分かった。同様の話は他の学校でもあるといい、保護者らは「息が詰まる」と困惑。医師らは密閉空間や混雑した場所でなければ許容範囲とし、感染拡大の防止と子どもの心身の健康のバランスを冷静に見てほしいと呼び掛けている。

 「地域の方から、中学生が公園などで集団で遊ぶ姿が見られ、本来の臨時休校の趣旨が守られていないのではないかとの心配の声が寄せられました」。屋代中が4日、保護者に宛てたメール。文面は「各家庭でも再度休校の趣旨を確認し、不要な外出は控えるようご指導を」と続いた。

 メールを流す際には、急な休校による生徒や保護者の苦しい胸の内を考え、校内でも議論があったという。「外出を控えるのは強制ではないし、保護者に伝えるべきか苦慮した」と塩野入幸隆校長は打ち明ける。県教委によると、同様の意見は県教委や他の学校にも複数寄せられている。

 こうした「地域の厳しい目」に釈然としない親は少なくない。屋代中に娘が通う母親(54)は、室内に多くの子どもが集まる学童保育や保育園はよくて公園が駄目な理由が思い付かない。むしろ、仕事などで行動範囲が広い大人こそ感染を広げるリスクは高いはずとして、「監視し合うような、生きづらい地域になるのでは」と戸惑いを語る。

 感染拡大防止の点で、子どもたちの外出はどう考えればいいのだろう。長野赤十字病院(長野市)の増渕雄(たけし)・感染症内科部長は、カラオケボックスなど密閉した空間は避けた方がいいとしつつ、「公園は許容範囲」と指摘。「科学的な見地から見守ることが大人の責任だ」と話す。

 諏訪中央病院(茅野市)の鎌田実名誉院長も、密集を避けて手洗いを欠かさなければ遊具で遊ぶのも大丈夫だとした上で、今回の臨時休校が学校や家庭の準備が十分でないまま始まった点を重視。「感染拡大を防いで社会活動を維持するため『大人が子どもに協力してもらっている』という視点を忘れてはいけない。温かな目を持つ地域の寛容さが肝心だ」と強調している。

 長野市箱清水の城山公園でも5日、休校中の中学生や小学生のグループが遊具で遊んだり、野球を楽しんだりしていた。小学2年と3歳の兄弟を連れて散歩していた母親(42)は「『外に出るな』は困る。気分転換がないと、親も息が詰まる」と話していた。

(3月6日)

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