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米大統領の演説受け市場に失望感:識者はこうみる - ロイター (Reuters Japan)

[東京 12日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、13日から欧州から米国への入国を30日間全面的に停止すると発表。

これを受け、東京証券取引所で日経平均の下落幅が拡大したほか、米株価指数先物も下落するなど、市場に失望感が広がっている。

内外の市場関係者に見方を聞いた。

●あまりに場当たり的、少なすぎて遅すぎる

<MUFG(香港)のグローバル・マーケッツ・リサーチの東アジア担当トップ、クリフ・タン氏>

市場は、もっと綿密に設計されたプランを期待していた。主要なパーツがしっかり練り上げられたと思えるようなプランだ。

だが過去3日間で浮上した対策をみると、ブレインストーミングで出てきたアイデアをとりあえず試してみようといった印象が強まる。

個人的には、給与税(免除)は一時的に非常に大きな効果を発揮する可能性があると思う。だが、それ以外の対策は、あまりに場当たり的で、少なすぎるし、遅すぎると市場は感じている。

この段階では、我々全員が事態を冷静に受け止めて、(経済の混乱に)数カ月耐える必要がある。香港と中国ではそうしてきたし、操業停止がどのようなものかもわかっている。経済がどこまで混乱するか、市場はまだ完全には織り込んでいないようだ。

●新型コロナ対策に出遅れ感

<ピクテ・アセット・マネジメント(香港)の上級投資マネジャー、アンディ・ウォン氏>

英国を除く欧州からの渡航停止という今回の措置はやや出遅れ感がある。米国は(新型コロナウイルスの)検査をほとんど行っておらず、市中感染が既に起きている。

市民への影響は出始めたばかりで、NBAなどのスポーツイベントの中止・延期が今後、市民の心理にはっきりと打撃を与えることになるだろう。

もう一つの大きな懸念材料は原油市場をかく乱するロシアの動きで、金融状況や流動性に著しい影響を与える可能性がある。

トランプ大統領の措置は強力な対策が必要と認めた結果と言えるが、リーダーシップが甚だしく欠如しており、楽観的シナリオではなく最悪の事態に備えた対策や準備に力を入れるべきだ。

●単なるPR、政府間や中銀との協調も見られず

<INGのアジア太平洋チーフエコノミスト、ロブ・カーネル氏>

これを最も包括的な対策と呼ぶトランプ大統領の発言には言葉が出ない。欧州に責任転嫁しようとしている。

きょうの発表が感染者数の抑制に向けた包括的な計画の一部であれば妥当な措置だが、追加の検査や(感染経路の)追跡、感染拡大抑制措置がなければ、ただのPR活動にすぎない。米国ではこうした策はとられていない。

政府間の協調行動や、多くの場合、中銀と政府間の協調も見られない。この点で欧州中央銀行(ECB)がきょう、何らかの対応を示すか注目される。

●給与減税の迅速な議会審議は困難か

<みずほ証券 投資情報部部長 倉持靖彦氏>

トランプ米大統領は演説で欧州からの入国制限に加え、有給の傷病休暇、打撃を受けた中小企業への救済ローン、 確定申告期限の延長等の具体的な措置について振れたものの、給与税減についてはあいまいだった。現在市場が一番期待しているのは、3000億ドル、名目GDP1.5%規模に当たる給与減税なだけに、投資家の期待は空回りとなり、時間外取引での米国株先物の急落につながっている。

過去、ブッシュ政権やオバマ政権も景気減速に直面した際、議会内で様々な対立が生じつつも最終的には措置を取る経緯があった。ただ、減税の規模が大きく、大統領選を控えて共和党と民主党が対立する中、議会の審議を迅速に進めるのも難しい。どうしてもスピード感に欠けてしまうのが実情のようだ。

●取引所閉鎖など最悪シナリオ織り込む動き

<岡地証券 投資情報室長 森裕恭氏>

欧州からの入国停止というトランプ大統領の演説は、事態がより悪化、しかも先行きがまったく見通せないという印象を市場に与えた。市場全体では、金価格まで下落し、頼るべきはキャッシュのみというリスクオフも極まった感が強い。株式市場において、ここにきての売り急ぎは取引所閉鎖といった最悪シナリオまで織り込み始めたのではないか。

日本株は、需給面で運の悪さもあった。円高や時間外取引の米国先物安などが嫌気されて下がったという背景は別にして、本来なら配当利回りなどを考慮した突っ込み買いが入るところ、明日にメジャーSQ(特別清算指数)算出を控え、買うとしてもSQが終わってからというムードがある。これでは値動きに関係なく買いが入りにくい。

また、昨日は前場に軟化していたのにもかかわらず日銀のETF購入がみられなかったが、それもマイナス材料になっているようだ。

●市場の期待に程遠い内容

<アライアンス・バーンスタイン 債券運用調査部長 駱 正彦氏>

トランプ米大統領が演説で表明した政策は、大型減税などが含まれず、マーケットが期待していた内容には程遠かった。ただ、大統領選挙の年に、トランプ大統領に有利になるような内容を米民主党は了承しないとみていた。今後、新型コロナウイルスによる悪影響が大きい業種などに絞った対策が出てくる可能性はあるが、大型の経済政策は期待しにくいのではないか。米経済対策は大胆な内容になるとマーケットは織り込みすぎていたようだ。

●ドル一時100円割れか、個人が苦戦

<トレイダーズ証券 市場部長 井口喜雄氏>

これまで1日に数十銭の動きだったドル/円が、数円単位で大きく変動するようになり、個人投資家の取引量は従来の数倍へ急増している。しかし、激しすぎる動きに目が慣れていないようで、ロスカットの円買い戻しを迫られる向きが少なくない。

9日海外でつけた安値101.18円は、トランプ氏が米大統領となった2016年11月以来の水準。そのあたりまで下げを覚悟していた参加者はいるが、そこから下は未知数の世界だ。ここを割り込むと円高がさらに加速し、瞬間的に100円を割り込んだとしても不思議ではない。

9日安値で底打ちした可能性もまだ残っているとみているが、102円半ばから前半で下げ止まらないと、再び崩れる公算が高まる。大統領の演説を聞いていても、米国の対応が他国に比べて鈍く、後手に回っているように見えることが気がかりだ。

●期待外れ、入国制限は効果的だが例外措置が問題

<プルデンシャル・ファイナンシャル(米ニュージャージー州)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏>

市場は大統領の演説を好感していない。投資家は的を絞った景気対策の詳細が明らかになると予想していた。少なくとも先物市場の値動きをみる限り、投資家は物足りなさを感じている。

給与税減税は確実に消費者の可処分所得増加につながるが、民主党との調整が必要になる。

最大の不透明要因は新型コロナウイルスの拡散であり、封じ込めが必要だ。欧州からの入国停止措置は封じ込めに寄与するだろう。だが、入国制限の対象外となった英国は、他の欧州からの乗り継ぎ拠点となっており、この点をどうにかする必要がある。

トランプ大統領は、株式市場の評価を気にしている。市場で高い評価を得るには新型ウイルスを封じ込めなければならない。感染が拡大すれば信頼感が低下し、米国経済の柱である個人消費が落ち込む。

●欧州からの入国禁止は予想外

<ANZのアジア調査部門のトップ、クーン・ゴー氏>

欧州からの入国禁止は予想外で、市場が反応した。

トランプ米大統領は3月11日、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、13日から欧州から米国への入国を30日間全面的に停止すると発表。これを受け、東京証券取引所で日経平均の下落幅が拡大したほか、米株価指数先物も下落するなど、市場に失望感が広がっている。写真は11日、米シアトルのバーでトランプ大統領の演説をテレビで見る市民ら(2020年 ロイター/Jason Redmond)

経済的影響が大きいことは周知の事実で、企業全般への影響を増幅させるだろう。市場が織り込んでいた内容ではない。

政治家にとっては難しい状況だ。市場は大きな不透明感に直面しているので、何を発表しても十分でないと感じるものだ。

*内容を追加しました。

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March 12, 2020 at 01:30PM
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