熱が上がったり下がったり ひどい頭痛に苦しむ 感染の男性、今後の不安吐露
新型コロナウイルス感染が確認された仙台市の50代の会社員男性が22日、河北新報社の電話取材に応じ、感染の経緯や症状、治療の過程などを語った。検査で陰性となり、入院していた市内の医療機関を同日退院した。今後について「『感染者は悪』という風潮が怖い」と不安を吐露した。
男性は3月31日午後に38度台の発熱、喉の痛み、耳の違和感を覚え、市内の病院を受診。「耳に水が入ったような症状があった」と話す。風邪の診断を受け、風邪薬と解熱剤を処方された。自宅待機を続け、4月3日には平熱に下がり、耳の不快感も治まった。
4日に再び38度以上の熱が出た。5日に平熱に戻ったが7日にまた38度台の熱が出たため、宮城県と同市が共同設置するコールセンターに連絡。8日にPCR検査を受け、9日に陽性が判明した。
「とにかく熱の乱高下が激しかった。頭痛がとてもひどく、普段だと薬を飲めば改善していたのに効かなかった」と振り返る。感染症状の特徴の一つとされる味覚と嗅覚の異常はなかった。
男性は10日に入院。医師から肺のコンピューター断層撮影(CT)検査の結果を伝えられ、「半分以上が真っ黒になっている」と肺炎と診断された。せきも激しくなった。「1度出ると止まらなくなった。腹筋を使うひどいせきになった」
入院直後に治療に効果が期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の使用を提案され、同意した。ぜんそく治療の吸入薬「オルベスコ」も使った。結果、人工呼吸器を使う重篤状態に陥ることはなかった。
シャワーとトイレ付きの個室に隔離され、医師3人と看護師1人のチームが1日2回問診に訪れた。「外に出られなかったが、買い物などは医療スタッフに担ってもらい不自由はなかった」と感謝する。
食事も普通に取り、症状は改善した。20日には平熱になり、PCR検査で陰性と判定。翌21日も陰性となり退院が決まった。
「(勤務先の)会社など周辺に感染者が出なかったことが幸い」と男性は安堵(あんど)する一方、不安もある。同居する20代の長男のことだ。11日に感染が確認されて市内で入院している。
長男は仙台大(宮城県柴田町)の4年生。3月下旬に東京で就職活動した後に体調を崩した。病院では風邪と診断された。熱も下がったままだったが、男性の感染を受けて検査した結果、陽性と判定された。
感染確認後に大学は長男の行動を公表したが、通学の有無などを後に一部訂正した。一部報道で本人の虚偽報告と捉えられ、ネットの中傷にさらされた。
男性は「陽性判定に動揺してすぐに正確な報告はできなかった。大学は学生ファーストの立場を取って、きちんと事実を確認して発表することで息子を守ってほしかった」と憤る。
長男は心ない中傷にふさぎ込んでいるという。「誰も感染したくはないが、どこで感染するかも分からない。感染者を悪とする風潮はやめてほしい」と訴えた。
2020年04月23日木曜日
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April 23, 2020 at 11:46AM
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