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トルコ、世界遺産アヤソフィアをモスクに 世俗主義象徴 - 日本経済新聞

観光客でにぎわうアヤソフィア博物館(2019年5月、イスタンブール)

観光客でにぎわうアヤソフィア博物館(2019年5月、イスタンブール)

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ最高行政裁判所は10日、世界遺産の建築物アヤソフィアを宗教的に中立な博物館にするとした1934年の内閣決定を無効と判断した。エルドアン大統領は同日、イスラム教の礼拝の場であるモスクとして開放するとの大統領令に署名した。

アヤソフィアはローマ帝国時代の537年、キリスト教の大聖堂として建立された。1453年にオスマン帝国がコンスタンティノープル(現イスタンブール)を征服した際、モスクに改装した。1935年、博物館としてオープンし、現代トルコの世俗主義や親欧州の外交方針を象徴する存在だった。

トルコではイスラム教保守派を中心にアヤソフィアをモスクに戻すべきだとの意見があり、エルドアン氏の宿願でもあった。判決は政権の意向を色濃く受けたものとみられる。同氏は10日夜の演説で、イスラム教徒以外にも門戸を開き続けるとしたうえで「祈りの場とすることは我々の主権に基づく」と述べた。

東方正教会の中心だったアヤソフィアのモスク化には、ギリシャなどの正教国が強く反対していた。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は10日「残念な決定だ」と述べた。米国務省も失望を表明した。

アヤソフィアにはキリストのモザイク画などが展示されており、扱いをどうするかが課題となる。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は声明で、事前の相談なしにトルコが行った決定に「深い遺憾」を示したうえで、建築物の保存や運営方法などについて協議が必要だとした。

裁判所は判決理由で、アヤソフィアを博物館とすることは、所有者だったオスマン帝国のスルタン、メフメト2世が設立した管理財団の規約に反すると指摘した。

アヤソフィア ローマ帝国時代の360年に創建し、現在の建物はユスティニアヌス帝が537年に再建した。ギリシャ語由来のハギア・ソフィア(聖ソフィア)としても知られる。長く東方正教会の総本山だったが、1453年にコンスタンティノープルを陥落させたオスマン帝国のスルタン、メフメト2世が尖塔(せんとう)の追加やモザイク画の塗りつぶしなどでモスクに改装した。
 世俗主義と欧化を掲げるトルコ共和国の建国に伴い、1935年に宗教性のない博物館と位置づけられ、中での礼拝ができなくなった。コンスタンティノープルの征服は預言者ムハンマドが望んでいたとされており、その象徴であるアヤソフィアのモスク化はトルコの宗教保守派や右派が長年主張してきた。1985年に世界遺産登録された。

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July 10, 2020 at 10:42PM
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