外出自粛で依存症寸前の人、多いですよね。
一日中スマホをいじりまくって、ようやくログオフしようという夜。「ああ、もっともっとスマホ触ってたいなー」と思う人は、かなり少数派でしょう。むしろ、「今日もスマホ漬けだったな…」って苦い思いになる人も多いのでは。
インターネットって、むずかしいですよね。長所を挙げたとしても、なんか短所をうまーく言い換えているだけっぽい。たとえば、「世界中の誰とでもつながれる」って長所でもありますが、「あんな人やこんな人ともつながっちゃう」という短所にもなりますし。そのリスクがあまりにも不吉なので、よいところが飲み込まれてしまう感じ。それでもなんとなくスクロールして、無意味で役にも立たないコンテンツに時間を浪費していると、「インターネットってなんだろう…」的な気分になります。
つまり、我々はそろそろスマホ中心のサイクルから抜け出さなきゃならない、ということです。今週のGiz Asksでは、専門家の方々をお呼びして「どうやったらスマホ離れできる?」という疑問にバシッと答えていただきました。
ブラウン大学の疫学・行動社会科学・医学の准教授
人間は道具を発明して使うのが得意です。魚を釣るために釣り針と糸を作ったことも、技術といえます。家族を養ううえでの革命的な発明でした。そして直近のテクノロジーといえば、デジタル技術です。技術というのは淘汰されるもので、歴史を振り返ってみても役立つものは残り、そうでないものは消えていきました。
今、特定のデジタルツールが役立つのかどうか、どうすれば判断できるでしょう? それは、我々が思考や感情、肉体の感覚を研ぎ澄ませ、個人的な煩悩などを排除して「このデジタルツールは今このとき、他の何よりも役立っているだろうか?」と問うてみることです。もし答えが「Yes」なら、それは結構。どうぞ、そのまま使い続けてください。もし「No」であれば手放しましょう。そして次に優先順位が高い、自分や他者のためになる行動に移ってください。
煩悩や個人的興味などを排除して「このデジタルツールは今このとき、他の何よりも役立っているだろうか?」と問うてみることです。
もし答えが「Yes」なら、それは結構。どうぞ、そのまま使い続けてください。
もし「No」であれば手放しましょう。
そして次に優先順位が高い、自分や他者のためになる行動に移ってください。
ブラウン大学マインドフルネスセンターの行動社会科学准教授および研究開発ディレクター
自分の心がどう動いているかわからない場合、どうやって心と付き合っていけばいいのでしょうか。私のオフィスに患者さんが来たとき、私はまず「この人はどれだけ自分の心をわかっているか」を判断します。もし「見当もつかない」という状態であれば、「ではそこから始めましょう」となります。どのようにしてSNS習慣が形成されるか、理解することは重要です。そして、実はそれほど複雑ではありません。
ここに大きくかかわるのが、リワード・ベースド・ラーニング(報酬学習)です。報酬学習には3つの要素があり、まずはトリガー。たとえばこれを「退屈」としましょう。その次に、誘発される行動があります。それがこの場合、ソーシャルメディアになります。そして3つめが報酬です。SNSにログオンしても、10回のうち9回は面白いものなど見つかりません。でもたまに大当たりして、斬新で魅力的なもの出会うことがあります。すると脳がドーパミンを出しながら言うわけです、「もう一回、もう一回!」と。他に、不安もトリガーになります。不安だからSNSをチェックすると、不快な感情が紛れる。これが、報酬になります。すると、「次に不安を感じたときには、またSNSにいこう」と脳が学んでしまうのです。
ソーシャルメディアというのは、このパターンを利用するよう設計されています。できるだけ依存しやすいように、各プラットフォームが作られているのです。作り手側が、脳の生存メカニズムを利用している(極端に言えば、武器にしている)ということを理解することが重要です。
このプロセスが理解できれば、脳の報酬学習システムを利用して、私が“Bigger Better Offer(BBO)”と呼ぶものを見つけることができます。つまり、我々の脳に何かをやめさせたいなら、それよりもっとやりがいのあるものを与えるしかない、ということです。ある行動がいかに報われないか理解できるようにする、というのもひとつの方法です。たとえば、「SNSを見れば手軽に安心できるかもしれないが、最終的には事態を悪化させることになる」という感じです。
次に、より報酬の高い行動をとった際(何かに集中するなど)にどんな気持ちになるか注意して観察し、どんな感情になったかを脳が比較できるようにします。ソーシャルメディアをチェックするか、「今はやめておこう」として別の何かに集中したときを思い出して比較してもらうのです。すると、彼らの脳が「何かに集中しているほうが気持ちいい」と気づいてくれます。
注意深く観察すれば、心がどのように機能するか、テクノロジーから離れることでいかに心が報われるか、わかります。ですから、無理に「SNS断ち」をするという考えはナンセンスです。神経科学に基づいた行動ではありません。これは、ダイエット業界でよく見られることですね。ダイエット会社が顧客に「我々は弱いので、あなたのプログラムに頼るしかないんです」と言わせるためのコンセプトというか。しかし、脳の働きはそういうものではありません。一日過ごしたあとには意志力は枯渇し、こうした衝動に抵抗し難くなります。報酬学習は脳の最も強い部分であり、自分自身の行動を変えるのに役立ちます。
脳に何かをやめさせたいなら、それよりもっとやりがいのあるものを与えるしかない、ということです。
たとえば、ある行動がいかに報われないか理解できるようにする、というのもひとつの方法です。
簡単に安心を手に入れられるかもしれないが、最終的には事態を悪化させることになる、と。
UCLAのマインドフル・アウェアネス・リサーチセンターのマインドフルネス教育担当ディレクター、The Little Book of Being: Practices and Guidance for Uncovering Your Natural Awarenessの著者
現代では、テクノロジーから完全にフリーになることはほとんど不可能です。しかし、マインドフルネスを活用することで、テクノロジーの過度(時には不健全)な利用は最小限に抑えることができます。人は刺激がないと不快感を覚えることから、我々は「暇つぶしにテクノロジーに目を向けてしまう瞬間」に注目します。
たとえば、多くの人は何かの待ち時間、つまりすきま時間などの「暇なとき」にスマホを開きます。私たちは退屈や不快の美学をなくしてしまったのです。そういう時間を楽しんでこそ、創造の空間となったわけですが。マインドフルネスにより、人は不快な瞬間に気づき、スマホを手にしたい、ニュースを読みたい、SNSのフィードをスクロールしたい…という衝動を感じつつ、手を止めて、ひと呼吸おいて、行動に移さずにいられます。不快感の中でも「大丈夫」だと学び、リアルタイムの生活に目を向けることができます。今自分はどう感じているのか、自分の周囲にどんな景色や音があるのか? 電話に飛びつく以外、なにができるだろうか? など。あるいは、ただ穏やかに呼吸して、命とつながってみましょう。
UCSF Weill Institute for Neurosciences精神医学教授および副議長
とにかく、やってみましょう。一日に数回、スマホから離れてみましょう。あなたが依存していて、心の一部にまでなっている「電話」を別の部屋や引き出しかどこかへやってしまいましょう。私自身、完全に電話に依存してますから、どこにあるか「感じる」こともできてしまうのです。それができないと、躍起になって探してしまいます。
強迫性、つまりスマホをチェックする頻度が問題なのは、注意力を断片化されてしまうためです。「他人と同じ空間や時間に存在する」ということが負担になるのです。電話に依存してしまうのは、それなりに理由があります。他人や家族への責任を負っている場合はなおさらです。しかし、結局は注意力の低下や幸福の阻害という対価を支払っているのです。
我々は日々のストレスに関して研究していますが、自分の行動に「誰かが参加している」と実感すると幸福を感じることがわかっています。逆に、その日起きたことにストレスがあると、自ら「誰かの行動に参加する」ことや自身の存在をしっかり確認することはむずかしくなります。その結果、画面を見てしまう可能性が高くなります。
スクリーン視聴時間と健康的な活動は、相反するものです。家で過ごす時間が多い今、私もスマホをそばに置きつつ、ヨガクラスを受けた経験があります。できるだけスマホを気にしないようにしていたのですが、レッスンが進むにつれ電話に手が伸び、最終的にはスマホをヨガマットにおいてレッスンを受けていました。クラスメートや先生が「メリハリつけて!」と止めてくれることもありません。その後どうなったか、はいうまでもありません。正直、どんなレッスンだったかほとんど覚えていません。
実際には、マルチタスクなんてできません。人は一度に2つのことはできないのです。それは経験の断片化のようなものです。パンデミック禍での仕事時間は通常よりも疲労しますから、勤務時間を短縮するなど、良識あるルールを設定することが有用です。できるだけ早く、午後あるいは夕方の早い時間にはコンピュータの電源を切りましょう。運動中や就寝前、夕食の席に電話はありません。こうしてメリハリを付けるだけで、私のようなスマホ中毒者の助けになります。次のステップでは、1日以上スマホ離れするという高度な練習があります。私自身、まだ挑戦中です。
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