あえて繰り返すまでもなく、新型コロナウイルスは社会やそこで暮らす人々のあり方を大きく変化させることになりました。そんななか、私たちはどこへ向かい、どう生きればいいのかーー。
『それでも、幸せになれる 「価値大転換時代」の乗りこえ方』(鎌田 實 著、清流出版)は、そのことについてのヒントを示した一冊です。
医師という立場から、著者はまず「新型コロナと社会との関係」について指摘しています。そこには、4つの段階があるというのです。
一つめは、第1波を抑え込もうと新型コロナと闘っている状態「オンコロナ」。
二つめは、第1波が終わったあとの「ウィズコロナ」。
徐々に経済活動の抑制を緩めていきながら、やがて必ず来る第2波を極力小さくすることが重要です。 そして三つめは、ワクチンや治療薬が実用化し、新型コロナをおおむねコントロール下に置くことができる「アフターコロナ」。
最後に「ビヨンドコロナ」。つまり人類がコロナ禍を完全に乗り越えた先の時代です。(「はじめに」より)
現時点で私たちは「ウィズコロナ」の状態にあるわけですが、現実問題として、まだまだ先は長そう。とはいっても、やがては「ビヨンドコロナ」に到達することになります。
重要なポイントは、そのときには現在の常識が必ずしも常識ではなくなるであろうということ。人間のあり方や生活様式を含め、いろいろなものが大きく変わる可能性があるのです。
つまり価値観が大きく転換していくなか、それに対処していくための術が求められているということ。そこで本書では、上記の4つの段階に沿って、新しい時代をどのように生きるべきかを考えているわけです。
きょうは、「ウィズコロナ」のその先、「アフターコロナ」を生きる術を説いた第3章「不透明な明日を切り開く生き方」に注目してみたいと思います。
必要以上に「不幸」を考えない
フランスの文学者・バルザックは、「われわれは幸も不幸も大げさに考えすぎている」と語っています。人生は「自分で考えているほど幸福でもないし、かといって不幸でもない」というのです。(126ページより)
客観的に見て、今回の新型コロナ禍が大きな不幸であることは間違いないでしょう。
しかしそれでも、いつかは必ず冷静に受け止められるときが訪れるだろうと著者は推測しています。
もちろん、命を落とさないように気をつけることが前提ではありますが、どんな出来事であっても、幸と不幸、そのどちらに傾くかを決めるのは自分自身であるわけです。そして、そこには周囲との関係性も大きく影響してくるようです。
たとえばこのことに関連し、著者は自殺未遂を起こした知人の話を引き合いに出しています。その人は部長に昇進したことが大きなストレスになり、自殺しようとしたというのです。
幸いにも、駆けつけた友人のおかげで一命を取り留め、精神科の援助もあって立ちなおれたそうですが、はからずも、それ以上の朗報がもたらされたのだとか。
彼の人柄がよかったこともあって部下たちが支えてくれ、結果的には会社のなかでの彼の部署の成績がかえって上がったのです。
著者は彼が再生できたことについて、“自粛警察”のようなバッシングがなかったことも大きいと記しています。
いいかえれば、人の力が彼を助けたわけです。そういう意味では、家庭や会社や地域において、人の足を引っぱったり、SNS上で人を叩いたりする空気を減らしていくことが重要な課題なのでしょう。
すぐにゼロにはならないでしょうが、少しずつ減らしていけば、不幸もいつかは幸福に変えていけるということです。
いま新型コロナの苦境と対峙している人の苦しみや不安は、決して少なくないはず。それどころか誰にも相談できず、悶々として日々を過ごしている人がいる可能性もあり得るでしょう。
しかし、たとえ追い詰められたとしても、決してその苦しみを隠さないでほしいと著者は強調しています。当然のことながら、そうした悩みによって命を落とすようなことがあってはならないから。
なにしろ、命はひとつしかないのです。その命を閉じてしまったら、リカバリーのチャンスは永遠に訪れないわけです。
だからこそ、上記の彼がそうであったように、困ったときには誰かに頼るべきだということ。
躊躇することなく、正直に苦境を訴えかければ、必ず誰かが救いの手を差し伸べてくれるもの。そして、そんなときに「自分を助けてくれる人がいる」と思うことができれば、また生きる希望が湧いてくるはずだということです。(126ページより)
「強者の理論」を捨てて、働く場所の確保を
新型コロナウイルスの影響で、存亡の危機に瀕した企業も少なくないでしょう。もちろん企業も大変ですが、そうした企業で働いていた派遣社員や契約社員など、非正規雇用の人たちはなおのこと深刻です。
そんなところからもわかるとおり、新型コロナウイルスは、改めて「社会の不平等」を浮き彫りにした感があります。
健康面においても、社会階層が低い人ほど生活環境が劣悪であるために抵抗力が弱く、感染しやすく治りにくいようです。
そればかりか社会的、経済的に苦しくなる人が増え、それが心身の健康を悪化させることも考えられます。
最近の研究では、経済環境が心身の健康状態に大きく影響を与えることがわかっています。
子ども時代を貧困の中で過ごした人は、うつになりやすい傾向があるともいわれています。
新型ウイルスで職や住まいを失い、窮地に追い込まれて自殺率が増え、犯罪が増加するのは社会全体の不幸です。(131ページより)
人類の歴史は、「感染症との闘いの歴史」でもあります。つまり、今回の新型コロナウイルスがいったん収束したとしても、またいつか新たな感染症が出現することは確実であるわけです。
その際、所得や教育などの格差によって、心身の健康や生命が危険にさらされるべきではありません。したがってそのときに備え、いまから社会的経済的な支援対策を構築しておくべきだということです。
そして著者は、新型コロナによって企業活動の本格的回復ばかりが優先され、非正規の処遇改善にストップがかからないかと危惧しています。
いいかえれば、これから先、アフターコロナの時代に経済環境が不安定になるなか、企業や社会がどこまで非正規雇用者にあたたかい目を向けられるかが肝心なのです。(130ページより)
*
中世におけるペストがルネサンスをもたらすきっかけとなったことにも明らかなように、人類は世界的な危機のたびに新たなものを生み出してきました。
そう考えれば、ビヨンドコロナを“チャンスにあふれた時代”“新しい時代の幕開け”と捉えることも可能。そうした考え方に基づく本書を参考にしながら、新たな生き方について前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
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Source: 清流出版
Photo: 印南敦史
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