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「中国の成功」が終わりに近づいている理由 - 東洋経済オンライン

歴史学者ファーガソンが予測する「政治と経済」

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未来を展望する歴史学者ファーガソンは、米中関係の今後をどう見るのか(写真:NHK)

米中の対立が深まる中、世界情勢はどうなるのか。NHK「欲望の資本主義2020」での発言や著書『スクエア・アンド・タワー』が話題で、独自の視点から資本主義の歴史を俯瞰するニーアル・ファーガソンに、米中関係や中国情勢について展望を聞いた。番組の未公開部分も多数収録した『欲望の資本主義4 スティグリッツ×ファーガソン不確実性への挑戦』から、一部を抜粋してお届けする。

チャイメリカの死

――世界の新たな「冷戦」について伺います。米中関係、あるいは世界秩序について、近年の最も重要な変化はどのようなことだと思われますか。

ファーガソン:13年ほど前に、「チャイメリカ」という摩訶不思議な国について書いたことがあります。中国とアメリカの蜜月を描いた論考です。世界で最も重要な経済関係は米中関係で、非常に緊密であるためほぼ1つの経済体のようだと書きました。

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「チャイメリカ」では、中国が貯蓄をし、アメリカが消費します。中国は輸出、アメリカは輸入です。そして、中国はアメリカに融資します。つまり、アメリカは経常収支の赤字を埋めるために中国から借金し、そのお金で中国から膨大な消費財を輸入するという構造になっていたのです。

「チャイメリカ」は2007年時点の、世界経済の仕組みを説明したものでした。そして私は、そのような構造は持続不可能で、いずれ経済危機を引き起こしてしまうと主張しました。「チャイメリカ」はギリシャ神話の怪獣キメラのようなもので、実際には存在しない幻想だからです。そして、現実に、経済危機は翌年、2008年に起こりました。

「チャイメリカ」はその頃から死に向かい始めたのだと思います。米中の関係は緊張し、相互批判が始まりました。その時になって初めて、アメリカは「チャイメリカ」はアメリカではなく中国を利していたことに気付いたのです。金融危機が起こった時、中国の成長率は10%で、アメリカの失業率は10%でした。

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