米マイクロソフトがスマートフォン事業へ再参入する。米アップル、韓国のサムスン電子、中国の華為技術(ファーウェイ)ら強豪がひしめく市場への挑戦には「いまさら感」もあるが、それ以上に驚いたのは、再参入にあたりスマホの操作基盤の基本ソフト(OS)にライバル企業の米グーグルの技術導入を決めたことだ。自社OS「ウィンドウズ」へのこだわりを捨てたのはなぜなのか。
マイクロソフトは10月初め、グーグルOS「アンドロイド」を導入した折りたたみ式の2画面スマホ「サーフェス・デュオ」を来年の歳末商戦に投入すると発表、2017年に「ウィンドウズ・フォン」の出荷を終えて以来、撤退していた市場の攻略に乗り出すと宣言した。
アップルの「iPhone」を除けば、今やスマホの操作基盤の業界標準はグーグルOSだ。巨大IT企業の代表格として「GAFA」(ガーファ=グーグル、アマゾン・コム、フェイスブック、アップルの頭文字)という言葉がもてはやされる時代の波にあらがえず、マイクロソフトもスマホ分野ではグーグルの軍門に降ったとの印象もあるだろう。
ブランド価値で勝負
だが、必ずしもそうとは言えない。興味深い調査データがある。世界最大のブランディング専門会社の米インターブランドが毎年実施している企業ブランド力の格付けだ。
調査は、収益などの財務データに加え、消費者の購入意思決定へのブランドの影響力や、企業の信頼性などから独自の評価手法でブランドの金銭的価値を算出する。今年の世界ランキングは2年連続首位のアップル、2位グーグル、3位アマゾンと、やはりGAFAが存在感を示した。
ただ、ブランド価値の前年比伸び率をみると、4位につけたマイクロソフト(17%増)が、アップル(9%増)、グーグル(8%増)を上回っている。
マイクロソフトは、パソコンの普及期に一世を風靡した「ウィンドウズ95」に象徴されるウィンドウズOSで、創業者のビル・ゲイツ氏がIT市場に圧倒的なシェアの“巨大帝国”を築いた。その後、独占禁止法に基づく主要国の規制強化やスマホの登場などで、2代目のスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)時代には徐々に影響力が低下。3代目のサティア・ナデラCEOが経営を引き継いだ14年のブランド価値は611億ドル(約6兆6600億円)と、アップル(1188億ドル)やグーグル(1074億ドル)に大きく水をあけられていた。
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November 16, 2019 at 07:00AM
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