日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告は日本を出国し、レバノン入りした。1年余り前の衝撃的な逮捕で幕を開けた事件は無断出国という予想もしない展開を迎えた。同被告は会社法違反(特別背任)の罪などで起訴された後、保釈中で公判待ちだった。
NHKによれば東京地裁は31日夜、ゴーン被告の保釈を取り消す決定をした。保釈保証金15億円は没収される見通しで、東京地検が取り消しを請求していたという。
ゴーン被告は31日、「わたしは今レバノンにおり、もはや日本の不正な法制度の人質ではない。日本の法制度では有罪が確実で、差別がまん延し、基本的人権が否定されている」との声明を電子メールで公表。「私は正義から逃げたのではない、私は不正義や政治的迫害から逃れたのだ」と主張した。
同被告(65)が国籍を有するレバノンと日本の間には逃亡犯罪人引き渡し条約はない。同被告は事件を巡って、日産とルノーの一層の統合を阻止しようとする日産幹部や検察、政府当局者の陰謀の犠牲者だと主張し、不正行為を否定している。
同被告は海外に渡航せず、日本の届け出済みの住所に居住することなどを条件に今年4月に保釈。判事の許可なく一晩を超える外泊は認められておらず、月末にはその月の面会者リストを提出するよう義務付けられていた。
ゴーン被告がどのようにレバノンに入国したのかは分かっていない。被告の弁護士はすべてのパスポートを弁護団が保管しているほか、被告が常に監視下に置かれていたと説明。レバノンのメディアは同被告はプライベートジェットでトルコからレバノン入りしたと報じた。同国アンナハル紙が暫定閣僚1人を引用し報じたところによれば、ゴーン被告はフランスのパスポートを使い、レバノンに入国した。同被告はフランス、ブラジル、レバノンの国籍を保有している。
寝耳に水
弁護団の弘中惇一郎弁護士は31日に会見し、レバノン出国については報道を通じて知ったとし「寝耳に水で当惑している」と述べた。海外への渡航を禁じた保釈条件や日本の司法そのものに対する違反行為ではあるものの、「気持ちが理解できないかというとそれは別問題」とも話した。弁護団として裁判所に報告書を提出する予定という。
東京検察庁、東京地方裁判所および入国管理局は電話がつながらなかった。外務省はコメントを控えた。日産の担当者は同社はノーコメントとしている。
フランスのパニエリュナシェ経済・財務副大臣は、国内ラジオに対し、ゴーン被告のレバノン入りについて「非常に驚いた」と語った上で、被告は「法を超越するものでない」と述べた。仏大統領府はこの問題でコメントを控えている。
元検事の郷原信郎弁護士は、ゴーン氏が裁判所の理解を裏切ったことは残念とした上で、「重要なのは今後のことだ。ゴーン氏事件の検察捜査はあまりにもデタラメだった」と ツイート。「レバノン政府に対してゴーン氏の身柄引き渡しを求めても、果たして国際社会に通用するだろうか」との考えを示した。
原題: Ghosn Flees to Lebanon to Escape ‘Rigged’ Japan Legal System (4)(抜粋)
(見出しを変え、2段落目にNHKの報道内容を加えます)
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December 31, 2019 at 06:40AM
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