アメリカ大統領を目指していたカマラ・ハリス上院議員(55)は、昨年末に出馬を取りやめた。しかし今度は副大統領候補としてホワイトハウスを目指すことになった。
カリフォルニア州選出のハリス議員は昨年夏、複数の民主党討論会で優れた論戦を展開し、混戦模様の民主党候補の中から頭ひとつリードしたかに見えた。ジョー・バイデン前副大統領がかつて長い議員生活の中で、人種差別主義者の議員とも協調していたことも批判していた。しかし、知名度は政治資金につながらず、昨年12月初めには大統領選撤退を発表した。
そのハリス議員は今、バイデン氏と共に、ホワイトハウスを目指すことになった。
ハリス議員とはどういう人か、その経歴を振り返る――。
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インド系のルーツとのつながり
ハリス氏は、ジャマイカ出身の経済学者のドナルド・ハリス氏(スタンフォード大学名誉教授)と、インド出身の内分泌学研究者シャマラ・ゴパラン=ハリス博士の間にカリフォルニア州オークランドで生まれた。
7歳のときに両親が離婚した後は主に、母親に育てられた。母ゴパラン=ハリス博士はがんを研究するかたわら、公民権運動にも参加していた。
娘たちにインド系の名前をつけ、娘たちをインドにたびたび連れていった母親の影響で、ハリス議員は自分のインド系のルーツを自覚しながら育った。しかしそれと同時に、ハリス議員によるとゴパラン=ハリス博士はオークランドのブラックカルチャーを暮らしに取り入れていた。そのため、ハリス氏は妹のマヤさんと共にその中で育った。
「母は自分が黒人の女の子2人を育てているのだと、重々理解していた」と、ハリス議員は自伝「The Truths We Hold(私たちの真実)」でこう書いている。
「自分の住む場所として選んだこの国は、マヤと私を黒人の女の子として見るはずだ。そのことは、母も承知していた。そして母は、私たちを自信ある誇り高い黒人女性に育てると、決心していた」
ハリス氏は少女時代、カナダでもしばらく過ごした。ゴパラン=ハリス博士がカナダのマギル大学で教えるようになると、娘たちも同行し、5年にわたりモントリオールの学校で学んだ。
その後は、歴史的に黒人が通う大学として全米有数のハワード大学に入った。ハワード大で過ごした4年間が、自分の人格形成に特に大きい影響を与えたとハリス氏は話している。
ハリス氏は、自分のアイデンティティーについて混乱したことはなく、ただ単に自分を「アメリカ人」と呼ぶのだと話していた。
2019年には米紙ワシントン・ポストに対して、政治家は出身や肌の色がどうだからこうあらねばならないという「箱」に押し込まれるべきではないと発言。「自分は自分。私はそれで満足です。迷う人もいるかもしれないけど、私はそれでいい」と話していた。
法と秩序の階段を上る
ハワード大の次は、カリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールを経て、カリフォルニア州アラミーダ郡地方検事事務所で働き始めた。
2003年にはサンフランシスコの検察トップ、連邦検事となった。2011年からは、カリフォルニア州で初のアフリカ系で女性の司法長官となった。全米人口最多の州で、司法のトップになったのだ。
私生活では、2009年に母シャマラ・ゴパラン=ハリス博士ががんのために亡くなった。
2014年には、ユダヤ系のダグラス・エムホフ弁護士と結婚した。
州司法長官として2期を務める間、民主党の中でも新進気鋭の若手として注目されるようになり、2017年にはカリフォルニア州選出の連邦上院議員になった。
上院議員としては、民主党左派の間で、公聴会におけるその検察官らしい質問の仕方が好評を博した。特に、連邦最高裁判事に指名されたブレット・キャヴァノー判事の承認公聴会での厳しい尋問ぶりや、ロシア疑惑捜査報告書についてウイリアム・バー司法長官を追及した様子が評判となった。
ホワイトハウスを目指す
2019年1月に大統領選出馬を発表した当初は、大勢が歓迎した。しかし、明確な出馬理由や政策目標を明示することができず、医療改革など主要論点で主張が迷走することもあり、支持は低迷した。
テレビ討論会では、バイデン氏がかつて人種差別的な議員たちとも協力したことがあるなどとバイデン氏の過去の言動を批判し、論戦を展開したものの、これも支持獲得にはつながらなかった。
犯罪を取り締まる法執行官としての経歴をもつカリフォルニア州の民主党候補として、ハリス氏は党内進歩派と穏健派の間で慎重にバランスをとろうとした。しかしその結果、どちらの支持も得られず、結局は2020年に民主党予備選が始まる前に、撤退を余儀なくされた。
バイデン氏の指名獲得が確実視されるようになった3月には、バイデン氏を支持すると表明した。「彼が次の合衆国大統領に選ばれるよう、自分にできることは何でもする」と宣言した。
犯罪取り締まりの実績
2020年大統領選に出馬したことで、カリフォルニア州の検察トップとしての経歴があらためてスポットライトを浴びることになった。
同性結婚や死刑制度などについては左派寄りの姿勢だったものの、進歩派からは、進歩派としてはまったく不十分だと繰り返し攻撃された。サンフランシスコ大学のローラ・ベイズロン法学教授は昨年1月、「カマラ・ハリスは進歩的な検事ではなかった」と題した痛烈な論考を米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿している。
ハリス氏が大統領選出馬を表明して間もないこの寄稿で、ベイズロン教授はハリス議員が警察改革や麻薬取り締まり改革、冤罪(えんざい)など、進歩派にとって重要な課題に、正面から向き合ってこなかったと批判した。
ハリス氏は「進歩的な検察官」を自認し、自分の経歴の中でも特に左派寄りの成果を強調した。その中には、カリフォルニア州司法省の特別捜査官にボディカメラの着用を初めて義務づけたことや、市民が活用できる犯罪統計データベースの公開なども含まれた。
容疑者に厳しい検事だったという評価や「カマラはおまわりだ」という表現が、民主党の予備選中には批判として広まり、リベラル派の間の支持拡大を妨げた。しかし、犯罪に手ごわい検察官で司法長官だったという経歴は、中道派や浮動票の獲得が必要な本選では有利に働くかもしれないと言われている。
そして今、アメリカが人種差別問題にあらためて直面し、警察暴力の問題にもあらためて注目している中で、ハリス議員は今再び、世間の注目を浴びる最前列に座ることになった。その影響力をもってして、進歩派の意見を広める機会を得た。
様々なマスコミのトークショーで、ハリス氏は全米で警察改革が必要だと主張してきた。ツイッターでは、ケンタッキー州の自宅で警察に射殺された26歳のアフリカ系女性、ブリオナ・テイラーさんの事件を取り上げ、彼女を死なせた警官たちの逮捕を求める。さらには、国内にはびこる制度的な人種差別を解体する必要があると繰り返している。
進歩派が声高に主張し続ける警察予算の削減(防犯対策として警察予算を減らし、その分を社会福祉対策に使うよう求める意見)については、バイデン氏ははっきりと反対しているが、ハリス氏は立場を明確にしていない。それよりも、市民の安全対策を「イメージし直す」ことが大事だとしている。
自分は、自分ならではのアイデンティティーがあるからこそ、アメリカ社会の隅に追いやられた人たちを代弁することができる。ハリス議員はそう繰り返してきた。バイデン氏に副大統領候補として選ばれた今、ハリス氏はもしかすると、それをホワイトハウスの内側から実現する機会を手に入れるかもしれない。
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August 13, 2020 at 10:00AM
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